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公明が中道改革の軸に
斉藤代表、西田幹事長の代表質問から
公明党の斉藤鉄夫代表と西田実仁幹事長は5、6日、衆参両院の本会議場で高市早苗首相の所信表明演説に対する代表質問を行いました。斉藤代表と西田幹事長はそれぞれ冒頭で、「個人の尊厳や社会的弱者を守る『包容力』こそ政治の役割」「『一人の声』を大切にする人間主義の政治を貫いていく」と強調。「『中道改革の軸』となる」(斉藤代表)と公明党の政治姿勢を鮮明に打ち出した上で、国民生活を直撃する物価高騰への対策や「政治とカネ」の問題、外交・安全保障などについて論戦を展開しました。公明党の主張のポイントや識者の声を紹介します。
■(物価高)即効性ある対策打つべき/医療・介護、建設業など持続的な賃上げ促せ
物価高対策について斉藤代表は、公明党が筋道を付けた所得税の基礎控除引き上げをはじめ、家計の可処分所得を継続的に底上げする「減税」を断行するよう主張。その上で政府が検討する、電気・ガス料金への支援やガソリン暫定税率の廃止などでは「支援策が薄い」と批判。「減税が実現するまでの間、物価高から幅広い国民生活を守り抜くため、即効性ある新たな対策を打つべきだ」と迫りました。
また、持続的な賃上げを巡って斉藤代表は、医療や介護、障がい福祉、子育て分野の公定価格に、物価上昇分などを適切に反映するよう主張。建設業についても、設計労務単価の引き上げなどを進め、「所得の抜本的向上を図る必要がある」と訴えました。
中小企業の賃上げ支援については、西田幹事長が各種施策の財源確保策として浮上している賃上げ促進税制の縮減に言及。高市首相が所信表明で「継続的に賃上げできる環境を整えることこそが、政府の役割」と述べた点と矛盾することを指摘し、多くの企業が拡充を求める同税制の「縮減はすべきでない」と主張しました。
■(政治とカネ)全容解明と規制強化の決着を
自民党派閥による政治資金不記載問題について斉藤代表は「いつまでたっても終わらない政治とカネの問題に、一刻も早く決着を付けるべきだ」と強調。「選挙後に明らかになった事実もある。高市首相が先頭に立って問題の全容解明に当たっていただきたい」と迫りましたが、高市首相は「それぞれの議員が丁寧に真摯に説明責任を尽くしてきたものと考えている」と述べるにとどまりました。
企業・団体献金の規制強化を巡っては西田幹事長が、献金の受け手を政党本部と都道府県連に絞る公明党と国民民主党の案について見解をただしました。高市首相は「御党を含む他党とも真摯な議論を重ねる」などと答えました。
自民、日本維新の会両党の連立政権合意書に衆院議員定数の1割削減が記載された点については、斉藤代表が「定数削減の議論には反対しない」とした上で、「比例区のみの削減という声も聞くが、それは、多様性を排除し、少数の民意は切り捨てても構わないという考えで、民主主義の破壊にほかならない」と批判。「各党の幅広い合意が必要」と訴えました。
■(外交・安保)核禁条約会議にオブザーバー参加せよ
外交・安全保障政策について斉藤代表は「国家安全保障戦略では『外交』が最上位に位置付けられている」と訴え、非軍事的な分野での国際協力を積極的に行い、日本のソフトパワーを高める平和外交の強化を強く求めました。
さらに、核兵器のない世界の実現に向けて「首脳外交を積極的に展開し、核兵器禁止条約への署名・批准に向けた環境整備に全力を」と訴え、来年11月の同条約第1回再検討会議への日本のオブザーバー参加を求めました。
一方、西田幹事長は、公明党が日本、米国、韓国、中国、ロシア、北朝鮮などを参加国とした新たな常設の対話枠組み「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設を提案していると力説し、「平和国家・日本こそが、機構の創設を主導すべきだ」と要請。高市首相は「この地域において信頼醸成を行っていくことは有益だ」として、地域の安全保障のあり方に関する検討を深める考えを示しました。
■(社会保障)公平な負担へ仕組み整えて
社会保障と税の一体改革に向けて斉藤代表は「わが国の将来を決する大きなテーマであるだけに、可能な限り多くの合意を得られるよう、丁寧な議論を求める」と要請。その上で「高額療養費制度は今後も堅持すべきだ。福祉的な観点から、消費税の軽減税率を深掘りすることと給付付き税額控除の両立はできる」と主張し、安心できる制度改革に向けて、公明党が合意形成の要として議論をリードしていく決意を述べました。
高市首相が掲げる社会保険料の引き下げなどについて、西田幹事長は「高齢者の窓口負担を増やして財源を確保する考えか」とただしました。高市首相は「高齢者負担のあり方について検討を進める」として明言を避けました。
また、自民、日本維新の会両党の連立政権合意書に明記された「年齢によらない真に公平な応能負担の実現」に向けて「預金や有価証券、不動産などの資産を把握するインフラを本格的に整えないか」と首相に迫りました。
■(経済、教育など)政府系ファンドで財源創れ
日本の科学技術の再興に向けて斉藤代表は「人手不足や災害などの課題を乗り越え、活気ある温かい社会をつくる鍵は、新技術の社会実装にある」と力説。科学技術予算の倍増を提唱し、日本の優れた技術の国際標準化を実現する戦略の推進を訴えました。
また斉藤代表は、国民の利益となる政策実現に向けて「物価も賃金も上昇する成長型経済へ転換しゆく今こそ、財源も『探す』から『創り出す』へ発想を転換し、国の資産の一部を大胆な運用へと見直すべきだ」と力説し、「政府系ファンド」創設を提案。高市首相は「保有資産の運用改善や有効活用の有用性の検討を行う」と答えました。
一方、西田幹事長は、物価高で苦しむ若者の負担軽減に向けた奨学金改革を行うよう要請。「奨学金返済額の一定割合を所得控除、または税額控除することで、制度設計次第では、返済額の半分を国が支援することも可能となる」と主張し、「奨学金減税」の実現を強く求めました。
■(防災・減災・復興)能登の人手不足解消急務
能登半島地震で被災した地域の創造的復興に向けて斉藤代表は「現下の課題である、深刻な人手不足、担い手不足の解消に向けた国による全面的な支援を」と要請。近年、風水害などの自然災害が頻発し、南海トラフ地震や首都直下地震などの発生も懸念されることから「災害対応の司令塔となる『防災庁』の設置は急務だ」と訴えました。
一方、西田幹事長は、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故の教訓を生かさねばならないと力説し、「予防保全型投資の拡充、デジタル技術の高度化、自治体への財政・技術支援の強化など、国が責任を持って災害・老朽化対策を推進すべきだ」と訴えました。
代表質問への識者の声
弱者への目配り公明らしさ際立つ
麗澤大学教授 川上和久氏
これまでの与党経験を生かし、責任ある建設的な提案も行っていた印象です。自民党をチェックしつつ、協力すべき点では協力する姿勢を示したと言えます。
特に物価高対策では、影響を強く受ける社会的弱者への目配りが行き届いており、公明党らしさが際立っていました。今後編成される今年度補正予算案の審議などを通じて、経済指標などを踏まえた効果的な支援策の実現に向け協議してもらいたいです。
衆院議員の定数削減では比例区のみを減らすと、「死票」が多く出やすい小選挙区の割合が増え、多様性の排除につながり、幅広い民意の反映が難しくなります。過去の選挙データを踏まえた与野党の公正な議論が望まれます。
公明党が独自で主張する奨学金減税や政府系ファンドの創設は、実現すれば大きな効果が見込まれ、与党と真摯に協議してほしいです。










