いじめ認知件数が4年連続で過去最多を更新したという（2024年度）。「いじめられている君は、心がとても傷ついているだろう」。文筆家・池田晶子さんの随筆『14歳の君へ』（06年、毎日新聞出版）を読み返し、子どもの心に寄り添い、励ます大人でありたいと改めて考えた◆混迷の時代を生きる哲学を中学生向けに説いた同著。友愛から人生まで16のテーマで構成。その一つに戦争がある◆池田さんは、こう指摘する。「私は〇〇人」「私は〇〇国に所属する」と言う時、「〇〇人ではない人」「〇〇国に所属しない人」をも規定することになる。両者は利害や名誉をきっかけに、敵と味方の対立へと容易に変化する。個人と個人ならけんか。けんかが共同体規模に拡大するのが戦争だと◆その火種は消えない。他国との関係よりも自国の利益を優先する自国第一主義が国内外に広がる。対立や分断の溝の深まりを懸念する◆きょう11月4日は、国連教育科学文化機関（ユネスコ）の誕生日。憲章に有名な一節がある。「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」。世界80億人の心に平和のとりでをいかに築くか。平和の党の使命を果たしたい。（青）