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2019年11月29日

看護師が電話対応 #7119

急病やけが 24時間 利用者の不安解消

救急車を呼ぶ、救急外来を受診する。急病やけがの初期対応で、もう一つの有力な選択肢となるのが電話で医療相談ができる救急安心センター事業「#7119」だ。2007年から東京都がモデル的に始め、国も16年から本格的に全国への普及に乗り出している。救急出動件数の抑制効果も期待される#7119について紹介する。

増加一途の救急出動、抑制に期待

救急搬送者の軽症率

3歳の息子が夜間に40度超の高熱を出した。どう対処すればいいか。東京都豊島区に住む女性(37)は、#7119に電話してみた。

「救急相談センターです。救急相談でよろしいですか?」。オペレーターの看護師は「意識は、はっきりしていますか」「咳や鼻水はどうですか」などと尋ね、症状を伝えると「救急車を呼ぶ緊急性はなさそうです。翌日、お近くの小児科を受診なさってください」と助言してくれた。女性は「解熱剤を使っても40度を超えたので不安になったが、看護師さんのアドバイスを聞いて安心した」と振り返る。

#7119は看護師が応対している。緊急性が高い場合は119番につなぎ、低い場合は地域の医療機関を案内する。看護師で判断が難しい場合は医師が対応し、24時間365日の稼働を基本としている。

この事業は急増する都内の救急出動件数を背景に、07年6月に東京消防庁でスタートした。119番を補完するサービスとして全国初の取り組みだった。昨年は20万1943件の救急相談に応じ、119番転送となったものは、その15%に当たる3万3件だった。

軽症率や医療費減少に効果

#7009を導入した自治体

救急出動件数は全国で増加傾向にある。08年は510万件だったが18年には過去最高の661万件と、10年間で3割増えた。このうち緊急性を帯びない軽症者の割合は全体の49%。高齢者の割合は48%(08年)から59%(18年)に急増した。総務省消防庁は「需要増に救急隊の増加が追い付かないのが現状。このままでは真に必要な傷病者への対応が遅れ、救命率に影響が出かねない」と懸念を募らせる。増え続ける救急患者と軽症者。その受け皿となり得るのが#7119だ。

実際、導入された地域では、その効果が検証されている。東京消防庁によると、06年に60.3%だった救急搬送者の軽症率が13年には51.6%まで減った。また導入後、診療時間外の外来患者が減少した(札幌市)、医療機関への救急相談件数が減った(神戸市)という報告もある。横浜市では、年間1億6500万円の事業費を差し引いても、約5億円の医療費削減の効果があったと試算している。

「知っている人」13%にとどまる

一方で、利用する側の認知度の低さも課題だ。内閣府が17年に行った調査では、#7119を知っている人は13%にとどまる。総務省消防庁は今月8日、シリーズ累計500万部突破の「うんちドリル」キャラクターと連携したPR事業を発表。今後、特設サイトで4コマ漫画や動画を公開し、#7119の利用促進につなげたい考えだ。

総務省消防庁によると、#7119は12月から始める徳島県を含めると11都府県で導入されている。「#7009」(千葉県)といった類似番号で行っている県も含めると47都道府県の3割で稼働していることになる。横浜市のように政令市など一部地域で実施しているケースもあり、これらの大半は公明党の地方議員が議会で導入を強く推進したものだ。

全国展開をめざす同庁は運営費に対する財政支援を続けており、17年からは実際に運営に携わっている自治体職員や医師、看護師をアドバイザーとして自治体に派遣している。

心のセーフティーネットとして重要

国士舘大学防災・救急救助総合研究所 島崎修次所長(医学博士)

#7119は救急需要に供給が追いつかない大都市部とその周辺では大変有効な取り組みといえる。しかし、そうした問題が切実でない地域では、新たに費用をかけてまで導入に踏み切るには至らないのが現実だ。

医療費適正化の効果というよりも、住民の不安を解消する効果の方が大きいだろう。実際、家の中で何か起こったとき、救急車を呼ぶべきかどうかの判断は一般の人では難しい。いつでも看護師や専門医が相談に乗ってくれる窓口があることは、住民にとって心のセーフティーネットになる。都道府県単位が原則だが、未導入の地域については事業費などを考えると民間コールセンターの活用や広域での仕組みも検討していいのではないか。

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