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【主張】検察の違法な起訴 刑事司法の信頼回復を急げ
冤罪であった大川原化工機事件について、被害者が提起した国家賠償訴訟で、東京高裁は5月、検察の起訴そのものを違法と判断、判決は6月に確定した。
違法な起訴とは、証拠不十分で犯罪の立証ができていないという話ではなく、検察が架空の犯罪で国民を訴えたということである。「事件のねつ造」と批判されるのも当然だ。
検察の不当な権力行使で揺らいだ刑事司法の信頼回復は急務である。
公明党はこの検察の不祥事を、あってはならない人権侵害の問題として重く受け止め、党政務調査会の法務部会で再発防止について議論を重ね、8日に鈴木馨祐法相に提言を手渡した。
国家賠償訴訟の結果を受け、最高検察庁は8月に同事件に関する「捜査・公判上の問題点等について」と題する検証報告書を公表している。その中で検察は、「検察権が適正に行使されていない場面が存在した」ことを認め、これは違法な起訴をした東京地検だけの問題ではなく「検察全体の問題として捉えなければならない」と反省している。
検証結果について公明党は、提言の中で「中立的・第三者的な視点によって検証することにより、今回の検証の妥当性を明らかにする」ことを求めた。
役所が自身の権限行使について内部検証をすることは必要だが、この問題は国民の人権に直結するテーマであり、内部だけで完結させるわけにはいかない。
この事件は、生物兵器の製造に転用可能と疑われた機器を違法に輸出したとして、東京地検が起訴したのであるが、転用可能かどうかを判断するための要件を定めた法令について、検察が経済産業省に出向くなど厳格な確認をしていなかった。捜査の基本を怠ったわけであり、その上、長期間勾留されている被告人の保釈請求を理由なく認めず、そのうち1人は病死。この勾留についても東京高裁は違法としている。
刑事司法における国民の人権は憲法で手厚く保障されている。不当な検察権行使など決して許されない。









