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【主張】農産物輸出促進法 縦割り打破へ司令塔の役割重要
人口減少、少子高齢化で国内市場が縮小する中にあって、輸出拡大により農林水産業の振興を図るための重要な法律である。
農林水産物・食品輸出促進法が先週、共産党以外の賛成多数で成立した。農水省内に「司令塔」となる本部を設置し、省庁横断で輸出拡大に取り組むことが柱である。
世界的な和食ブームなどを追い風に、日本の農林水産物や食品の輸出は拡大を続けている。2018年の農水産物・食品の輸出額は、前年を12.4%上回る9068億円に上り、6年連続で過去最高額を更新した。
ただ、伸び率は鈍化しており、今年の目標である1兆円の達成が危ぶまれている。大きな要因は、他国との競争の激化である。加えて、東京電力福島第1原発事故を受けた輸入規制も大きな障壁となっている。輸出拡大のためには、こうした課題に迅速に取り組まねばならない。
ところが、輸入規制国との交渉は農水省が中心に担い、欧米向けに牛肉などを輸出する際に必要な食品衛生管理の国際基準「HACCP」の審査は厚生労働省が行っている。さらに外務省が所管する分野もある。このため省庁間の調整に手間取ることがあり、輸出拡大の妨げになっていると指摘されていた。
こうした、いわば縦割り行政の弊害をどう克服するか。この点が、わが国の農林水産業を振興させるための鍵であり、「司令塔」新設の目的にほかならない。
具体的には、農水相を本部長とし、総務相、外相、厚労相ら関係閣僚がメンバーとなる「農林水産物・食品輸出本部」を農水省に設置する。
これにより、輸入規制の撤廃に向けた交渉など複数の省庁にまたがる調整を一元化し、取り組みを加速させることができる。しっかり成果を上げられるよう、政府には万全な体制づくりを求めたい。
環太平洋連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が既に発効し、日米貿易協定も今国会で承認されれば来年1月の発効となる。
これら自由貿易の枠組みは輸出拡大の好機であり、司令塔の役割が大きいことを重ねて強調しておきたい。









