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2025年10月10日

【主張】緊急避妊薬の市販化 必要な時に入手できる環境を

望まない妊娠の不安を抱えた女性が、速やかに緊急避妊薬を使えるようにする意義は大きい。

医師の処方箋を原則必要とする緊急避妊薬が、処方箋なしに多くの薬局で購入できる見通しとなった。8月の厚生労働省の専門部会で市販薬とすることが了承され、厚労省は年内にも承認する方針としている。

緊急避妊薬は適切に避妊できなかったり、性暴力を受けたりした場合に、望まない妊娠のリスクから女性を守る手段だ。性交から72時間以内に飲むと約8割の確率で妊娠を防ぎ、早く服用するほど効果が高まるとされる。必要な時にすぐ入手できるかが鍵を握る。

海外では約90の国と地域で医師の処方箋なしに薬局で購入でき、世界保健機関(WHO)は健康維持に不可欠な必須医薬品に指定している。日本でも、よりアクセスしやすい市販化を求める声が市民団体から上がり、公明党が推進してきた。

厚労省は2023年11月から、16歳以上の女性を対象に処方箋なしでの試験販売を一部薬局で始め、販売方法のあり方について検討を進めてきた。

市販化では年齢制限をなくし、親の同意も不要とする。一方、適正な服用を促すとともに転売などを防ぐため、対面販売と薬剤師の面前での服用を義務付ける。販売薬局には研修を受けた薬剤師の配置や、近隣の産婦人科との連携体制などが求められる。必要に応じて支援先につなぐためだ。

市販化の効果を高めるには、費用面のハードルを下げる必要もある。試験販売の価格は7000~9000円と高い。諸外国のように低価格か無料での提供を検討してはどうか。

また、望まない妊娠の回避につなげるため、学校などで性的同意の尊重や避妊の理解を深める性教育の充実も図るべきだろう。

意図しない妊娠を誰にも相談できないまま一人で産む女性もいる。若い世代が性や体の悩みを専門家に相談できる場として一部地域で運営されている「ユースクリニック」の普及など相談支援も強化すべきだ。

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