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コラム「北斗七星」
夏目漱石が夫婦げんかのコツを指南している。安い瀬戸物をたたき割ること。気分が晴れ、かつ女房も「これではたまらない」と黙る(『漱石の新婚旅行』小宮洋著、海鳥社)。亭主関白ぶりに驚くが、夫婦のすれ違いは、昔も今も変わらない◆例えば、用件が済んだら話を切り上げると信じて疑わない夫には、長電話が理解できない。妻は、家事の負担を察しようとしない夫にいら立つ。かくして……。「生まれ変わっても今の相手を選ぶか」との調査で、30代以下の男女はともに半数が同じ相手を選んだ一方で、60代は夫の4割が妻を選び、夫と答えた妻は2割に満たない◆最近、すれ違いは脳の性差と知り、安心した。人工知能研究者の黒川伊保子さんによると、「共感欲求」が女性脳の特徴とか。「わかる、わかる~」と共感されることで、ストレスは減るらしい(『妻のトリセツ』講談社プラスα新書)。問題解決を急ぐ男性脳との違いだ◆ところで漱石も、さすがに妻が寝込んだときには徹夜で看病したという。<枕辺や星別れんとする晨>。朝には別れる織り姫とひこ星に、夫婦を重ね合わせたのだろうか◆家事や育児、介護、ご近所付き合いと、大忙しの女性に、夫も、公明党も支えられている。感謝の中で迎えた、きょう11月22日は「いい夫婦の日」。(也)