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ヒジキ漁場を再生
豊かな海づくりの大会で最高位賞
魚の食害対策が奏功
長崎・五島市
ヒジキ漁場を復活させた竹野代表(左)から収穫状況などを聞く相良(中)、清水の両市議
一時は壊滅状態に陥ったヒジキ漁場を再生した五島列島・福江島(長崎県五島市)東部の崎山地区。その取り組みは、都道府県や漁業関係団体からなる「全国豊かな海づくり推進協会」の大会で最高位の大会会長賞を受賞するなど、関係者から高く評価されている。沿岸海域で海藻が消失する「磯焼け」対策を後押ししてきた公明党の相良尚彦市議はこのほど、清水修・同県壱岐市議と漁場を視察した。
「今年も順調。500キロ(乾燥重量)以上採れた。この調子でいけば」――。崎山漁業集落の竹野弘茂代表は笑顔で語る。
ピーク時の1996年には54トンに上った同地区でのヒジキの生産量は、海藻が群生する「藻場」の減少に伴い、98年以降激減。2010年からは全く収穫ができなくなったが、県や市の調査では原因が特定できない状況が続いていた。
「自分たちの海を何とか復活させたい」と、崎山漁業集落が本格的に原因分析に乗り出したのは約7年前。県や市と連携し、国の離島漁業再生支援交付金を活用して調査を開始。約2年かけて、イスズミなど海藻を食べる植食性魚類による食害が磯焼けの原因だと突き止めた。
14年からは、海洋再生の研究などを行う企業と連携しながら沿岸海域(約2ヘクタール)で魚の侵入を防ぐ網を設置したところ、海藻が定着。その後、海藻の養殖範囲を拡大し、天然ヒジキの移植に成功した。そして17年春、約8年ぶりにヒジキが収穫できるようになった。
中学生の収穫体験 10年ぶり再開
18年には、かつて地元で恒例行事だった中学生によるヒジキ収穫体験を10年ぶりに再開。「社会教育の場としても役立っている」(市水産課担当者)という。
集落では現在、政府の水産多面的機能発揮対策交付金を活用し、沿岸海域(約10ヘクタール)を囲むようにして魚の侵入を防ぐ網を設置している。
一連の取り組みは、今年9月開催の「全国豊かな海づくり大会」の漁場・環境保全部門で、最高位の大会会長賞を受賞。県内外の漁業関係者から注目を集めている。
公明、一貫して取り組み後押し
公明党はこれまで、漁業の再生や漁業者支援などを行う国の交付金事業の充実に向け、一貫して取り組んできた。一方、市内で漁業者から相談を受けた相良市議が11年9月の議会質問などで、漁業者や民間との連携を強め、磯焼けの原因究明や対策を急ぐよう強く求めてきた。
今回、漁場を視察した相良、清水の両市議は「公明党の国・地方の連携力を生かし、市内外で進む磯焼けの対策や漁業者支援に今後も力を注いでいく」と決意を新たにしていた。