ニュース
【主張】太陽光発電と環境保全 導入と両立させる仕組み整備を
再生可能エネルギー(再エネ)の主力として広がる太陽光発電の導入は、地域の理解を得ながら進めることが重要だ。自然や景観などの環境保全と両立させつつ、導入を加速したい。
太陽光発電を巡っては、北海道の釧路地域における大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設をはじめ、各地で環境を損ないかねないとの懸念や課題が指摘されている。
特に釧路地域では、希少な野生動植物種の生態系への影響が懸念され、公明党は1日、再エネの導入拡大は地域との共生を大前提として取り組むよう、浅尾慶一郎環境相に申し入れた。
要請の柱は、国が主導して希少種を守る仕組みをつくるよう求めたことだ。具体的には、希少種の生育環境を守る「種の保存法」といった関係法令の実効性を高めるため、運用面を含めて不断の見直しを求めた。
太陽光発電施設は森林や農地など設置する場所で関係する法令が異なるが、問題は設置に歯止めをかける規定が、どの法令にも設けられていないことだ。
例えば、国の特別天然記念物タンチョウなどが生息する釧路地域では、開発や建築を規制する「市街化調整区域」で太陽光発電の導入が進む。同区域を規定する都市計画法では、発電設備の太陽光パネルが建築物に該当せず、規制の対象外となっているからだ。釧路市では禁止区域の指定などを設けた条例を制定したが、自治体任せにせず、国の主導で生態系を守る対策を講じる意義は大きい。
全国的には、自然や景観保護の観点から、太陽光発電の導入を規制する動きが広がっており、独自の条例を制定した自治体は今年3月末時点で323に上る。事業者との対応に苦慮する自治体は多く、党の申し入れでは自治体への相談体制の強化や関係省庁の緊密な連携のほか、適切な事業を進めるための事業者への厳格な対応などを求めた。
脱炭素社会の実現には、太陽光発電の普及は不可欠である。政府は地域の実情に応じて、丁寧に再エネ拡大を進めるべきだ。









