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コラム「北斗七星」
80年前の9月、一人の哲学者が獄死した――。三木清。市井の哲学者として多くの哲学書を世に問うていた彼は、治安維持法違反容疑の友人を支援した義俠心から同法違反者として収監されていた◆三木の死が明るみに出て、敗戦を経てもなお思想犯取り締まりの強権主義を改めない日本の為政者の姿勢に驚いた連合国軍総司令部(GHQ)が治安維持法の廃止を指示、思想犯として収監されていた多くの人が釈放されるきっかけになったのは有名な話だ◆一般市民向けに著され、現在も多くの人に読まれている三木の『人生論ノート』は、「死」や「成功」、「希望」など23項目に章分け記述されており、戦後盛んになった読書会の題材にもよく取り上げられた◆「幸福について」の章では〈人間を一般的なものとして理解するには、死から理解することが必要である〉とし、〈鳥の歌うが如くおのずから外に現われて他の人を幸福にするものが真の幸福である〉と、自他ともの幸福を目指す大切さを眼前に提示している◆人権を軽んじて治安維持法の再現を図るかのような立法化をもくろむ者が一定の支持を集めている昨今、私たちは、三木の哲学の普遍性を改めて学び、確認すべきではないか。(唄)









