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2025年9月7日

がん征圧へ総力

東京大学大学院医学系研究科特任教授 中川恵一氏 × 公明党代表代行、同女性委員長 竹谷とし子氏 × 党がん対策推進本部長、参院議員 秋野公造氏

今月は「がん征圧月間」。日本人の死因1位であるがんと、その予防についての正しい知識や早期発見・治療の大切さを広める活動が各地で行われています。東京大学大学院医学系研究科の中川恵一特任教授と、公明党の竹谷とし子代表代行、党がん対策推進本部の秋野公造本部長(参院議員)が、がん対策の現状と今後などを語り合いました。

■基本法 国の意識変えた(中川)

竹谷 日本人の2人に1人が、一生のうちに1度はがんにかかるとされています。中川先生は長年、がん医療の最前線で予防・検診・治療など、さまざまな面で対策の充実を進めてこられました。

中川 ありがとうございます。今から20年ほど前、日本は、生活習慣の欧米化が進み、大腸がんや乳がんなどが増えていました。ところが、これに対応する国内の治療法は外科手術ばかり。患者の苦痛を和らげる「緩和ケア」や、がん患者情報を収集する「がん登録」も進んでいませんでした。

秋野 こうした中、2006年に制定されたのが、がん対策基本法です。当時、私はまだ議員になる前で、厚生労働省にいました。

中川 がん対策基本法の制定を主導したのは公明党です。国を挙げた取り組みが大きく進みました。

竹谷 ありがとうございます。公明党は04年の衆院本会議で神崎武法代表(当時)が「強力にがん対策を推進すべき」と訴え、05年に党内にプロジェクトチームを設置し、基本法制定に向けて動き始めました。きっかけは患者さんやご家族、そして患者さんを支援するジャーナリストらのお声だったと伺っています。

中川 当時、適切な治療を受けられる病院が見つからない「がん難民」という言葉もありましたね。

竹谷 公明党は医療機関や患者団体などから幅広くご意見を伺い、06年3月に法案のたたき台となる要綱骨子を公表し、当時の民主党と協議、修正を重ね成立に至りました。

中川 がん対策基本法によって、がんの予防や早期発見へ検診の普及啓発が進みました。治療についても、放射線や抗がん剤といった薬物治療が広がるようになりました。本当に素晴らしいです。

■胃がん死者数2割減少(秋野)

秋野 全国がん登録については、私も法案提出者の一人として議員立法で「がん登録推進法」を13年に成立させました。これにより、全国47都道府県の病院などから、がんと診断された時点で報告を求め、データ分析を行うことが可能となりました。

このほか13年には、胃がんの原因となるピロリ菌に感染した胃炎についても、胃カメラを実施した上で除菌治療を保険適用にしました。これにより、胃がんによる死亡報告数は直線的に減少し、この12年で23%減となりました。

中川 データベース化により、科学的知見に基づいたがん対策が進むだけでなく、効果の検証を行う環境も整ったわけですね。

秋野 その通りです。このがん登録データを分析することで、胃がんの罹患者数も同様に減少していることが分かりました。実は厚労省では長らく、がん対策は生活習慣病対策室が担当していて、感染症が原因であるがんに対する認識が不足していました。胃がん予防のためのピロリ菌除菌の保険適用の流れの中で、公明党による申し入れの結果、「がん対策課」という部署が新設されたのです。

中川 今、喫煙率が下がったことで、日本人の発がん原因のトップは感染症です。国の意識を変え、機構まで変えた。非常に重要な仕事をなさったと思います。

秋野 公明党は、全国がん患者団体連合会など患者団体とも連携して対策を進めてきました。がん患者が治療と就労を長く両立できるよう「傷病手当金」の通算化を実現。高額療養費制度引き上げの見送りを公明党がリードしたのも、患者の皆さんとの強い絆があったからです。

■すい臓がん早期発見を(中川)

中川 胃がんが減ってきた一方で、増えているのがすい臓がんです。年間で4万5000人ほどが罹患し、4万人が亡くなっています。5年生存率は1割未満で、他のがんに比べて圧倒的に低い。部位別のがん死亡者数では、胃がんを抜いて3位になりましたが、自治体の住民検診の対象には含まれていません。

竹谷 なぜ対象に含まれていないのでしょうか。

中川 一つには、簡単な検査法がないことです。超音波検査(エコー検査)はありますが、臓器が奥深くにあるため発見が難しい。ただ、より根本的な問題は、進行のスピードが速く、早期発見の状態にとどまる期間が非常に短いことです。自治体の検診は短くても年1回ですが、それでは間に合わないのです。

秋野 自覚症状が出てきてからでは手遅れになるケースが多いですね。“沈黙の臓器”といわれるゆえんです。

中川 すい臓がんは遺伝的な要因が少なくない上に、糖尿病だと発症リスクが2倍になります。私も関わる民間クリニックではリスクの高い患者を対象に年2~3回の検査を行う「膵がんドック」を来年度から立ち上げます。ぜひ公明党が主導して対策を進めていただきたい。

■検診受診率向上さらに(竹谷)

竹谷 しっかり頑張りたいと思います。がん検診に力を注いできたのが公明党です。特に女性特有の乳がん、子宮頸がんについては、検診無料クーポンの配布や、個別に電話や手紙で受診を呼び掛ける受診勧奨・再勧奨(コール・リコール)の導入を進めましたが、さらなる受診率の向上が必要です。

秋野 私が19年に行った国会質疑で、国は初めてリスクに応じたがん検診の必要性を認めました。これを受けて国は昨年、指針を改定し、子宮頸がん検診にHPV(ヒトパピローマウイルス)検査単独法の導入を認めました。従来の検査は2年ごとですが、HPV検査単独法は陰性であれば5年ごとで済みます。

■「がん教育」普及へ医学生講師を派遣

中川 子宮頸がんはワクチンによって撲滅できる感染症が原因のがんです。男女共にHPVワクチンを定期接種化しているオーストラリアでは大きな成果を上げています。

竹谷 中川先生と共に進めてきた「がん教育」を通して、検診やワクチン接種の重要性など正しいがん知識も啓発していく必要がありますね。

中川 昨年から医学生のボランティアをがん教育の講師として学校などに派遣する取り組みを始めました。医学生自身の自己効力感やがんに関する知識が増えるというメリットもあります。

秋野 それは一石二鳥の素晴らしい取り組みです。

■患者・家族のケア手厚く(竹谷)

竹谷 患者さんやご家族の生活をしっかり支えていくことも重要です。患者さんが安心して治療に向き合えるよう治療と仕事、家事、育児、介護を支援する制度や、AYA世代の若い患者さん特有の妊孕性(妊娠するために必要な能力)温存や在宅医療の支援充実も必要です。

■予防医療で社会保障守る(秋野)

秋野 予防とともに、リスクに応じた検診をしっかり進めて早期発見・治療を行うことは、国民の健康と命を守るだけでなく、社会保障費の削減にもつながります。

中川 その通りです。社会保障制度の持続性も守っていかなければなりません。

竹谷 「命を守る政治」を掲げる公明党として、がん対策を次なるステージへと進めてまいります。

中川先生、本日はありがとうございました!

なかがわ・けいいち 1960年生まれ。東京大学医学部付属病院で放射線科准教授、緩和ケア診療部長などを経て現職。厚労省「がん検診のあり方に関する検討会」構成員や文部科学省「『がん教育』の在り方に関する検討会」委員などを歴任。著書に『養老先生、がんになる』(共著)など多数。

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