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2025年9月8日

コラム「北斗七星」

2015年10月。“路面電車の神様”が故郷・広島から栃木県宇都宮市へ舞い降りた。使命は次世代型路面電車(LRT)を実現に導くこと。神様の名は中尾正俊。70歳からの挑戦が始まった◆『路面電車の神様、広島から宇都宮へ 奇跡がつないだ14.6キロ』(山中利之著、JTBパブリッシング)によると彼は生後9カ月の時に被爆。その後、焦土の復興を支えた広島電鉄に入社し、仕事一筋に生きる。「路面電車の神様」。深い知識と豊かな経験を評して人はそう呼んだ◆現役引退から7年。1948年以来途絶えた全線完全新設の路面電車開業のため、工事や運行の責任を担う安全統括管理者を務めてほしい。熱く語る宇都宮市長の言葉に心が動いた。「微力ではありますが、よろしくお願いします」◆だがゼロからの事業立ち上げは試練の連続となった。度重なる開業の延期、試運転中に発生した脱線事故対策。数々の困難を乗り越え2023年8月26日、ついに開業にこぎ着ける◆1945年8月6日。彼の姉は学徒動員先で被爆し亡くなった。「残された人生を懸命に生きたいと思います」。大役を果たした彼は、姉が眠る慰霊碑を訪れ、そう伝えた。人は何度でも挑戦できる。生きている限り。(佳)

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