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コラム「北斗七星」
「転ばぬ先の杖」は大切だ。内閣府が11日、10月の景気ウオッチャー調査の結果を発表した。働く人たち約2000人を対象に、景気の実感(景況感)などを聞いたものだが、景気の現状についての指数が36.7と前月から10.0ポイント下がった◆これは、消費税率が8%に引き上げられた14年4月の41.6を下回り、東日本大震災後の2011年5月以来、8年5カ月ぶりの低水準である。消費増税のほか台風19号の被害などが影響したとみられている◆ここで指摘したいのは、仮に軽減税率やキャッシュレス還元事業を実施せずに消費税率がアップしていたら、景況感はもっと悪化していたのではないかということだ。日本経済が転ばぬよう、しっかりと杖を用意しておいた意味は小さくない◆今回の調査でもう一つ注目されるのは、景気の先行きについての指数である。こちらは前月より6.8ポイント増えて43.7に改善した。増税前の駆け込み需要による反動減の影響は次第に薄れるとの期待の表れのようだ◆この点、幼児教育・保育の無償化に続き、来春から実施される大学など高等教育無償化や私立高校授業料の実質無償化も景況感の改善を後押しするだろう。公明党が推進した多様な負担軽減策が、増税による消費の冷え込みを和らげ、景気を下支えしているのである。