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2025年8月8日

若い世代の生涯にわたる健康めざす「プレコンセプションケア」

政府が初の「推進5か年計画」

妊娠前ケアと直訳され、健康な妊娠・出産をめざすケアとされてきた「プレコンセプションケア」(以下、プレコン)だが、近年、“若い世代の男女の健康をめざす取り組み”と広い意味で捉えられるようになっている。こうしたプレコンについて、政府は5月、「推進5か年計画」を初策定した。ポイントをまとめ、識者の見解を聞いた。

性・妊娠の正しい知識提供
専門家らに相談しやすい体制全国で

「5か年計画」ではプレコンについて、生涯にわたり身体的・精神的・社会的に健康な状態であるための取り組みとして「性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や将来の健康を考えて健康管理を行う」概念と定義付けている。対象は主に30代以下の若い世代だ。

各種調査ではプレコンという言葉の認知度が1割以下にとどまり、若い世代に性や健康・妊娠に関する正しい知識の取得方法や相談する場所・手段が必ずしも広く知られていない。そうした現状を踏まえ、計画では、①性や健康に関する正しい知識の普及と情報提供②相談支援の充実③医療機関などにおける相談支援の充実――の三つを掲げた。

①では、研修を経て学校や企業などで正しい知識の普及を図り健康管理を促す「プレコンサポーター」を5万人以上養成する方針を表明。男女問わず性や妊娠に関する健康支援を進める「性と健康の相談センター事業」について、全ての都道府県・政令指定都市・中核市での実施を打ち出した。

②では、プレコンに関する一般的な相談ができる窓口の認知度向上などを掲げた。③では、基礎疾患のある人などが、専門的な相談ができる医療機関数を現在の約60から200以上に増やすとした。

その上で、都道府県や市区町村による「地方版推進計画」策定が「期待される」と表明した。

公明、普及を推進

公明党は、2023年5月に党女性委員会が政府に「プレコンセプションケアの充実」を提言し、識者との意見交換を重ねるなど、プレコンの普及を推進してきた。多くの自治体で、地方議員がプレコンの取り組みを推進し、福岡県では全国の自治体で初となる「プレコンセプションケアセンター」の設置を実現している。

なぜ必要か 男女共に情報理解が低い
地域の実情踏まえ取り組みを
国立成育医療研究センター女性総合診療センター女性内科 荒田尚子 診療部長

――プレコンは、なぜ必要か。

妊娠に伴う母親の死亡率、周産期(妊娠満22週~生後1週間未満)の子どもの死亡率は日本が世界でも特に低いことから、プレコンは必要ないと思われるかもしれない。

しかし、日本の若者は、女性だけでなく男性も、健康に関する情報を入手し理解、活用する能力「ヘルスリテラシー」が諸外国と比べて低い。性と生殖に関する健康(リプロダクティブヘルス)にも課題がある。そこに着目し、若者のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)を実現するため、正しい知識の普及や相談体制の整備を進めるプレコンの取り組みは必要だ。

――若者のヘルスリテラシーや性と生殖に関する健康に関して、どんな課題があるか。

栄養やワクチンなどの知識の普及が不十分だ。例えば、生まれてくる子どもの神経管閉鎖障害は妊娠前からの葉酸の摂取でリスクを減らすことができるが、よく知られておらず摂取が広がっていない。子どもの先天性異常を招く風疹の予防ワクチンや、子宮頸がんを予防するHPVワクチンの有用性が浸透しておらず、接種があまり進んでいない。

若い女性の“痩せ”の問題もある。母親の栄養摂取不足によって低体重で生まれる子どもが多くなっている。そうした子どもには、長い目で見ると心臓や腎臓の疾患、糖尿病などが進みやすいといった健康上の懸念も生じる。

――「5か年計画」を進める上での課題は。

計画はこども家庭庁がまとめたが、厚生労働、文部科学など各省に関係する内容も多い。省庁間で連携し、どう実行するかが課題となる。

健康状態の傾向や医療体制などは各地域で実情が違う。それに応じた「地方版推進計画」の策定・実行へ、行政と医師会や助産師会、学校関係などの連携が大事になる。糖尿病や高血圧など慢性疾患のある女性への妊娠前からのケアを、どう進めていくかも重要だ。

こうした課題を乗り越えて取り組みが国・地方で進むよう、政治の側からの後押しも期待したい。

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