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2025年8月7日

コラム「北斗七星」

タイトルに引かれて最初に読んだのは高校2年の夏休みだった。米国の作家J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』。累計6500万部以上売り上げた青春小説だ◆主人公は16歳の繊細な少年。将来の夢を問われた彼は、こう答えた。「ライ麦畑のキャッチャー、僕はただそういうものになりたいんだ」(村上春樹訳)。ライ麦畑は何千人もの子どもたちが遊び回る場所。その中に、よく前を見ずに走って崖から落ちそうになる子がいる。それらの子を片っ端からつかまえるのだという◆サリンジャーの作品には第2次世界大戦の影がある。23歳で軍に入隊。壮絶な戦争体験により、今で言う心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。除隊後、凄惨な記憶に苦しみ、ひきこもり状態の中で作品を手掛けた。その背景を知り、ライ麦畑を戦場、子どもたちを戦友と読み替えができた◆日本でも昨今、旧日本軍兵士が戦争体験で負った「心の傷」に光が当たるようになった。厚生労働省が昨年度、兵士の体験記などを基に調査を手掛けた。先月からは都内の戦傷病者史料館で展示を始めた◆戦後80年。戦争の教訓一つ一つに目を凝らしたい。分断と対立をあおる風潮にあらがい、子どもたちを守るためにも。(青)

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