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2025年8月6日

加速する木質バイオマス利用

CO2排出量が10年前の8分の1へ
長野・伊那市

市域面積の約82%を森林が占める長野県伊那市は、豊富な森林資源を生かした木質バイオマスの利用を定着させ、再生可能エネルギー(再エネ)の地産地消に力を入れる。2050年までの脱炭素社会実現へ二酸化炭素(CO2)の排出抑制を加速させるため、市はこのほど、バイオマス発電所を配備。地域の未利用材である流木などを燃料とする発電事業に挑んでいる。

■今年度から未利用材を燃料に発電

木質バイオマス発電所を視察する湯沢(中)、篠塚(左)の両市議

再エネの主力電源化を促進

バイオマス発電所は、木質ペレットの生産を手掛ける上伊那森林組合バイオマスエネルギー工場(同市)の敷地内に今年6月完成し、本格稼働。上伊那8市町村で構成される「上伊那森林組合」(代表理事組合長=白鳥孝・伊那市長)が運営する。発電機や研磨機の導入など総事業費の財源の一部には、公明党が国で推進してきた環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を充てた。

発電には、ダムにたまる流木や松枯れで伐採した木などの未利用材を年間約620トン使う。これらの未利用材は一般廃棄物として処理したり、チップ化したりするのに多額の費用がかかっていた。

未利用材は破砕し約2~6センチのチップにして乾燥させた後、発電機で熱分解してガスを取り出し、そのガスを燃料として発電する。発電分は昼間、ペレット生産工場に供給。夜間は、地域のエネルギー会社「ICT伊那みらいでんき」に売電し、公共施設で使われる。市担当課は、一般家庭約280世帯分の年間CO2排出量に相当する年間695トンのCO2削減を見込む。

白鳥市長は「海外の化石燃料に頼る時代から、身近な資源を活用し、地域循環型のエネルギーを生み出す時代のモデルになれば」と力を込める。

地域が誇る豊かな森林資源を生かした木質バイオマスの利用を着実に推進し、CO2の排出を抑制するため、市は2016年度に「伊那から減らそうCO2!!」と銘打つ計画を策定。ペレットストーブ購入やペレットボイラー導入にかかる費用助成といった市の支援が奏功し、木質バイオマスによるCO2抑制量は、計画策定当初の年間1240トンから24年度末時点で3.73倍に相当する年間4905トンに増加した。計画策定から10年目を迎える25年度中に、約8倍の年間9960トンまでをめざす。つまり、CO2排出量が8分の1となる想定だ。

一方、政府が今年2月に閣議決定した、国の中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」では、再エネを「主力電源として最大限導入する」と明記。40年度の電源構成割合について、23年度時点で全体の約7割を占める火力発電を3~4割程度に減らし、約2割の再エネを4~5割程度の主力電源に引き上げる見通しを示した。木質バイオマス発電の普及は、再エネの主力電源化を進める一助を果たす。

公明党の湯沢武、篠塚みどり両市議は、脱炭素社会の実現に向けた市の事業を後押し。湯沢市議は23年6月の定例会で、バイオマス発電所を稼働する上で、発生した熱源を電力などのエネルギーに転換していく必要性を訴えていた。

ダムから引き上げられた流木

発電の燃料に使われる乾燥チップ

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