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【主張】薬剤耐性対策 抗菌薬の適正な使用が重要だ
肺炎やぼうこう炎など細菌による感染症の治療に効果を発揮する抗菌薬(抗生物質、抗生剤)。だが、この薬が効かなくなる「薬剤耐性」が世界で大きな問題となっている。
日本でも対策に力を入れており、今月は特に推進月間として、イベントなど多彩な啓発活動を展開中だ。感染症の流行が本格化してくる季節であり、問題に留意したい。
抗菌薬が効かない、または効きにくくなった細菌を薬剤耐性菌という。この菌が増えると、使える抗菌薬の選択肢が狭まり、軽症で済むはずの感染症が重症化し、さらには死に至りかねない。
実際、耐性菌による死者は世界全体で約70万人(2013年時点)に上る。何も対策を取らなければ、50年には1000万人に達するとの予測もある。
なぜ耐性菌が生まれるのか。一つは、不必要な抗菌薬の処方である。例えば、細菌とは構造の異なるウイルスに抗菌薬は効かないが、ウイルス性の風邪などで抗菌薬が処方されるケースがあり、これにより細菌に耐性ができるというのだ。抗菌薬の処方について医療機関に慎重な見極めを求める声もある。
抗菌薬の服用方法についても注意を呼び掛けたい。服用を途中でやめてしまうと、残った細菌から耐性菌が生まれてしまう。取り置いていた抗菌薬を自分の判断で服用するのも厳禁だ。
また、耐性菌の拡大防止は国際社会が結束して取り組むべき課題である。動物の耐性菌が畜産物や農産物を通じて人間に感染する危険性も指摘されている。
そこで、世界保健機関(WHO)は15年に薬剤耐性に関する行動計画を採択。日本政府も16年に行動計画を取りまとめ、検出された細菌に含まれる耐性菌の割合である「耐性率」の低下目標を明記したほか、普及啓発や研究促進を掲げ、取り組み状況を毎年チェックしている。
政府の行動計画を踏まえ、公明党は国会質問で国民に対する薬剤耐性問題の周知徹底などを訴えてきた。国の20年度予算の概算要求にも対策費が計上されている。
薬剤耐性は医療の進歩と表裏一体の面があるだけに、監視を怠ってはならない。









