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被爆80年、核廃絶を自分事で考えよう
今こそ軍縮教育の充実を
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA) 中村桂子准教授に聞く
今夏は、広島と長崎に原爆が投下されてから、80年の節目を迎えます。被爆者の数は減り続け、平均年齢は85歳を超えました。核兵器廃絶へ若い世代はいかに取り組んでいくべきか。長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授に話を聞きました。
「核のタブー」崩壊の危機
なかむら・けいこ 神奈川県出身。特定非営利活動法人「ピースデポ」の事務局長として核問題に取り組み、2012年より現職。研究分野は核軍縮、核兵器廃絶と市民社会の役割。若い世代を対象とした軍縮・平和教育に関する研究・実践にも力を注いでいる。
――核兵器を巡る世界の動向は。
中村桂子准教授 核保有国では、すぐにでも使用できる状態にある配備核弾頭数が増加し、実際に核兵器が使われるリスクが極めて高まっているといえます。まさに核使用をタブーとする規範「核のタブー」が崩壊の危機にあります。
――日本国内ではどうですか。
中村 核を巡る不安定な国際情勢に対する危機感や不安感が人々の中でまん延し、強い言葉だったり極端な言い回しなど、「強い力に頼りたくなる」風潮が強くなっていると感じます。それが、今回の参院選の結果にも表れているのではないでしょうか。しかし、「力には力を」という考え方は、軍拡の連鎖を生み、さらなる危機につながりかねないという点に注意しなければなりません。
――核兵器廃絶に悲観的な意見や声が多くあります。
中村 私が授業を受け持つ学生の8、9割も、核兵器廃絶に悲観的な考えを持っていました。「廃絶は理想だが道筋が見えない」「自分が何をしても変わらない」と。長崎市内の大学生を対象としたアンケートでも、核兵器がなくなる可能性は「全くない」「どちらかといえば低い」が計94%でした。
その根底には、日本が米国の拡大核抑止、いわゆる“核の傘”に安全保障を依存している実態があり、「核なしでは私たちの安全が守られない」という考えがあります。
しかし、本当にそうでしょうか。私は、核抑止に依存することが極めて不安定かつ不確実で、大きなリスクをはらんでいると思っています。
一人一人が今の世界変える
――核なき世界の実現に必要なことは。
中村 私は、継続的な「軍縮教育」が必要だと思っています。単に軍備を減らすための勉強ではなく、一人一人が今の世界を変えていく力があるとの確信を深めるものです。この軍縮教育の重要性は、2018年に国連事務総長が公表した「軍縮アジェンダ」や核兵器禁止条約にも明記されています。広島や長崎は唯一の戦争被爆国として、原爆体験などを伝える「平和教育」に力を入れ、その成果が出ています。この平和教育を補うのが、具体的な核廃絶への道筋を学ぶ軍縮教育だと考えます。
――若い世代の取り組みが重要ですね。
中村 まずは、核廃絶の問題を自分事として捉えてほしいと思います。国連の持続可能な開発目標(SDGs)には、私たちに身近な問題として17のゴール(目標)が定められていますが、核廃絶はそれぞれの問題につながっています。例えば、核実験の実験場は大国に物を言えない地域や少数民族などの居住地ばかりです。つまり核問題は、植民地主義や経済格差、ジェンダー不平等などと同じなのです。環境問題もしかりです。決して私たちの日々の考え方や行動とかけ離れた所にあるのではありません。一人一人の行動が、今の世界を変えるのです。
また、SNSが急速に浸透し、一方的な情報があふれ、利用者はそれを正しいと信じ込みがちですが、多角的な物の見方も必要です。自分と考えが違う人の意見にも耳を傾け、双方向のやり取りをしていく。そこに、社会の対立と分断を乗り越えるヒントがあるのではないでしょうか。
平和創出大会では公明議員もトークセッションに参加し、活発な議論を繰り広げた=5月 広島市
――公明党に期待することは。
中村 5月には、広島市で、広島県本部と青年委員会が主催する「平和創出大会」に参加させてもらいました。このようなイベントを毎年開いていると伺い、感心するとともに心強く思いました。また公明党が同月に発表した「平和創出ビジョン」では、「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設をはじめ、対話による国際社会の協調を掲げており、こうした点にも共鳴します。今後も、平和の実現にぜひ尽力いただきたいと思います。
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