公明党トップ / ニュース / p441373

ニュース

2025年7月30日

虐待防止へ新資格 こども家庭ソーシャルワーカー

関係機関の連携の中核に 
児相職員ら研修通し高い専門性

虐待をはじめ、さまざまな困難に直面する子どもやその家庭の支援の強化へ、児童相談所や民間施設などの職員らが対象の認定資格「こども家庭ソーシャルワーカー(SW)」が誕生し、今年3月に初めて703人が登録された。こども家庭庁は今月、養成を促す依頼文書を自治体に出した。公明党も普及を強く後押ししている。

こども家庭SWは、改正児童福祉法(2022年6月成立)に基づく認定資格だ。児童虐待の相談対応件数が増加する中、専門性が高い人材を育成するため、24年度に創設された。虐待や貧困、保護者の健康問題といったリスクを早期に発見し、医療、福祉、教育などの関係機関の連携の中核として、適切な支援につなぐ役割が期待されている。

創設の背景には、児童相談所の児童福祉司の半数が経験年数3年未満の若手で、難しい対応を迫られていることがある。

資格の取得対象者は、児童相談所や児童養護施設、保育所などの指定施設で、児童福祉に関する相談援助業務に2年以上携わった経験者。研修(最低約100時間)を受け、試験に合格すれば認定される。研修時間は、対象者の資格(社会福祉士や精神保健福祉士、保育士など)や実務経験の長さに応じて異なる。

早稲田大学など13の機関が研修

資格取得に必要な研修は大学など13の実施機関(7月時点)が行う。研修受講者は子ども家庭福祉の理念をはじめ、SWとしての姿勢や実践的な知識・技能などを学ぶ。

実施機関のうち、早稲田大学は昨年度、日本財団の助成も受け、東京や徳島など全国4会場で研修を開催。さまざまな職種の受講者が対面で活発に議論する機会を多く設けるとともに、虐待を受けた当事者の証言を学ぶ機会も提供する。

「他職種の幅広い視点を学べた」

大分県中津市にある児童家庭支援センター「和」の古屋康博センター長は、同大学の研修プログラムに参加し、資格を取得した。古屋氏は「研修で児童養護施設や障がい者福祉施設の職員らと対面で議論でき、自分の職種だけでは見えなかった他の機関の幅広い視点を学べたのは大きな成果だった。関係機関と連携しやすくなった」と語る。

同大学と連携して研修プログラムを策定した西日本こども研修センターあかし(兵庫県明石市)の藤林武史センター長は「子どもの意見や意向を丁寧に聴き取り、そのニーズに基づく支援を行うのは、大人の支援とは違った難しさがある。子どもの権利擁護を基軸に、より専門的な知識・技術を身に付けたこども家庭SWの存在が重要になる。虐待や貧困、自殺などの問題が深刻化する前に対応する予防的支援の担い手となる」と説明する。

政府、取得促進へ費用補助

自治体に養成促す依頼文書

政府は、こども家庭SWの資格取得を促すため、研修の受講や資格を取得した職員への手当(月2万円)などの費用を自治体に補助している。

こども家庭庁によれば、24年度に、この補助金を活用した都道府県は全体の約3割で、今年度は、申請予定または活用を検討中が約6割に増える見込みだ。同庁は7月23日、都道府県などへの依頼文書で、こども家庭SWの計画的な養成と、補助金の積極的な活用を要請している。

養成が進む自治体もある。徳島県では今春、政府の補助金を活用して、児童相談所や児童養護施設、県内市町村の職員、計11人が資格を取得できた。取得した児童相談所職員の男性は「『子どもの最善の利益』を、より意識して対応できるようになった。虐待相談でも、保護者が抱えている問題の背景も含めて総合的に支援を考えられるようになった」と語る。県は29年度までに資格取得者を67人に増やす計画だ。

早稲田大学の上鹿渡和宏教授は「こども家庭SWが広がるには、手当の加算などの処遇改善が欠かせないが、自治体間で“温度差”がある。地域の大学での研修実施など、希望者が研修を受けやすい環境を広げることも大事である」と指摘する。

公明、活躍の場確保を後押し

公明党は、児童虐待の増加を踏まえ、児童相談所の職員の専門性の向上などを国会質問などで繰り返し主張。こども家庭SWの資格制度創設を盛り込んだ改正児童福祉法の成立を推進してきた。

こども家庭SWの普及に向けても、活躍の場の確保を含めた資格取得促進策の導入を政府への提言や国会質問で要望。参院選の政策集でも掲げ、後押ししている。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

定期購読はこちらから

ソーシャルメディア