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2018年6月14日

米朝首脳会談 識者はどう見る

聖学院大学 宮本悟教授

史上初となった米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の会談をどう見るか。宮本悟・聖学院大学教授に聞いた。

焦点は敵対行為の停止

――米朝首脳会談の結果をどう見るか。

宮本悟教授 トランプ大統領は当初、署名しないかもしれないと述べていたので、合意文書が出ただけでも成果だと言える。

内容が具体性に欠けるのは事実だが、米朝首脳会談は初めてのことであり、具体的な内容の合意を作ることは難しかったと思う。

今回の合意の実施に向けた交渉の継続を米朝両国は約束しているので、今後の交渉を見てから評価した方が良いだろう。

合意文書に「体制保証」の文言なし

――トランプ大統領が北朝鮮の体制保証を約束したことについて、米国が北朝鮮に譲歩し過ぎているのではとの懸念もあるが。

宮本 合意文書に「体制保証」という言葉はない。トランプ大統領が約束したのは「安全の保証」だ。

体制保証は、金正恩を首班とする朝鮮労働党政権の維持という意味で使われている。しかし、北朝鮮はこれを米国に求めてはいない。

北朝鮮は米国との戦争を回避する目的で、対米抑止力として核兵器開発に乗り出した。これは国家の安全保障のためである。

核兵器を持っても国家安全保障になるし、米国と和解しても国家安全保障になる。今回は和解の道を選んだということだろう。

金委員長は、朝鮮民主主義人民共和国国務委員長の肩書きで合意文書に署名している。政権の首班ではなく、国家の最高指導者なのである。

――北朝鮮の朝鮮中央通信は、非核化の「段階別、同時行動の原則」を順守することで米朝両首脳が一致したと報じた。これは、北朝鮮が非核化に向けた行動を起こすたびに、経済支援などの見返りを得ることだとされているが。

宮本 まず、北朝鮮は核兵器放棄の代わりに米国に経済支援を求めていない。

北朝鮮の金桂冠第1外務次官は「われわれはたった一度も米国に期待しながら経済建設をしたことがないし、今後もこのような取引を絶対にしないだろう」と述べており、この姿勢で一貫している。「段階別、同時行動の原則」は、米朝両国が敵対行為を同時にやめていくことだと考える。

拉致問題の解決 非核化交渉の進展が鍵

宮本 会談で、金委員長がお互いの敵対行為をやめることを提案したら、トランプ大統領は「分かった」と応じたという。トランプ大統領は記者会見で、さらに米韓合同軍事演習の中止などにも言及したが、これはいつでも再開可能なものであって、中止しても北朝鮮に対する安全保障には不十分だろう。

北朝鮮が求めているのは経済支援ではなく、国家安全保障だと、訪朝して金委員長と会談したポンペオ米国務長官は理解している。だからこそ、米朝首脳会談が実現したと言えよう。ここを見誤っていたから、過去の交渉は失敗した。

――会談では、トランプ大統領が日本人拉致問題についても取り上げた。

宮本 拉致被害者らの再調査を約束した2014年のストックホルム合意に基づく日朝協議が中断しているのは、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返し、日本が制裁を再び科したからだ。

いくら日朝交渉が進んでも、核・ミサイル問題がある限り、どこでつまずくか分からない。

今回の会談を契機に、北朝鮮の核・ミサイル問題が解決に向かっていけば、拉致問題の解決に向けた交渉をしやすくなるのではないか。

みやもと・さとる

1970年生まれ。ソウル大学政治学科修士課程修了(政治学修士号)。神戸大学法学研究科博士後期課程修了(博士号<政治学>)。日本国際問題研究所研究員などを経て、現職。専攻は国際政治学、政軍関係論、比較政治学、朝鮮半島研究。

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