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プレミアム付き商品券で消費“盛り上げ”
自治体が独自に上乗せして発行
財源を国が手当てし自治体が発行するプレミアム(割り増し)付き商品券が10月から始まった。自治体が上乗せする形で独自に“お得”なプレミアム付き商品券を発行する動きもある。消費盛り上げに力を入れる事例を紹介する。
全国で始まったプレミアム付き商品券は、3歳半未満の子がいる世帯と住民税非課税者が対象だ。子ども、非課税者1人当たり最大2万5000円分の商品券を2万円で購入できるのがポイント。5000円単位で販売し、利用しやすくするため1枚の額面は500円などとした。来年3月末までの、各市区町村が定める期間まで利用できる。
埼玉・川口市 中小店利用なら20%割増
プレミアム付き商品券を利用する滝澤さん親子(右)に商品を渡す髙地屋の髙地尚子さん=10月31日 埼玉・川口市
市と国の併用多く
埼玉県川口市は独自に、プレミアム付き商品券を販売した自治体の一つ。1セット2万3000円分の商品券を2万円で販売。1人当たり、最大3セット(6万円)まで購入できるようにした。市内に居住していなくても誰でも購入可能で、地元商店街などが協力し市内約1600店舗で利用できる。
「10月に入って商品券を使われるお客さんが増え、前年と比べ売り上げも伸びている」。笑顔でこう話すのは、市内でとんかつ店「髙地屋」を営む髙地好彦さん(65)。商品券の普及が売り上げ増につながっていると喜ぶ。主に接客などを切り盛りする妻の尚子さん(59)は「市と国の商品券を併せて使われる方も多い」と年末商戦を見据え、商品券の“相乗効果”に期待を示す。
9月に発行した11億5000万円分の「“元気”川口商品券」は既に完売。大型店など加盟店全店で利用できる「共通券」(500円×22枚、1万1000円分)と、中小店限定の「専用券」(500円×24枚、1万2000円分)の2種類各1万円をセット販売した。専用券のプレミアム率は共通券の2倍の20%と、“お得感”をより高めた。川口市経済部産業振興課の髙橋頼彦課長補佐は、2011年から毎年続ける商品券事業について、「国の商品券と連動させ、商業の活性化を図りたい」と話す。
滝澤晶子さん(35)は、市と国の商品券を使って髙地屋で家族分のとんかつ弁当を購入した。4人の子どものうち、2歳の太陽君、0歳の陽夏里ちゃんが国の商品券の対象になった。滝澤さんは「商品券が多ければ、それだけ食料品や子ども用品の負担が減って助かる」と行政の判断を評価する。
同市で大手コンビニのオーナーを務める藤﨑克哉さん(47)は、商品券利用者の拡大が売り上げ増につながっていると語る。「消費税率引き上げ後の消費の落ち込みは見られない」とも指摘する。
東京・板橋区 対象広げ、売り上げ増も
プレミアム付き商品券で購入する鈴木さん(右)と富士茶苑の今嶋さん夫妻=10月21日 東京・板橋区
「割安で買い物便利」
東京都板橋区も独自にプレミアム付き商品券を販売した。以前に比べ購入対象を広げたのが特徴だ。区内在住者のほか、在勤、在学(中学生以上)者であれば誰でも購入が可能。1万1000円分を1万円で販売し、1人10冊まで購入できるようにした。総額11億円分の商品券は6月と9月の2回で完売している。
「常連さんだけでなく、初めて来店される若い世代も商品券を利用し、売り上げ増に結び付いている」。同区内で深蒸し茶専門店「富士茶苑」を営む今嶋信次さん(70)は笑顔でこう語る。店頭に立つ妻のさえ子さん(70)も商品券を利用する子育て中の母親や若いサラリーマンが増えたと顔をほころばせる。
同店で商品券を利用しお茶を購入した鈴木晴子さん(67)は「対象が広かったので(区の商品券を)購入できた。割安で買い物できて便利」と、商品券事業の拡充を支持する。
板橋区産業経済部産業振興課の木内俊直課長は、「国の商品券発行のタイミングに合わせ、区の商品券を発行した。消費活動をさらに押し上げたい」と語り、15年度に実施した20%プレミアム付き商品券以上の経済効果を見込んでいる。
一方で、課題も見えてきた。国による商品券の対象である住民税非課税者の購入申請率が伸びていないことだ。自治体の中には、利用可能な店舗リストを同封した結果、申請率が大きくアップした所もある。今月中には申請期限を迎える自治体がある。こうした告知も含め、一層の取り組みが求められている。
生活者と商店、双方喜ぶ振興策
全国商店街振興組合連合会 辰野邦次理事長
プレミアム付き商品券は、生活者と商店街の双方が喜ぶ一挙両得の地域振興策で評価している。15年度に各地で発行された商品券は割増分の3~4倍の消費を喚起するなど、その経済効果は実証済みだ。
消費税率引き上げに対応した景気対策の一つとして効果を発揮するはずだ。地域の暮らしを第一に、各地で商品券事業を進める公明党の活躍に今後も期待している。