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【主張】児童虐待防止月間 子育て世代に寄り添う支援を
毎年11月は厚生労働省が定める「児童虐待防止推進月間」だ。
公明党は、児童虐待防止のシンボルマークにちなんだ「オレンジリボン街頭演説会」を各地で実施している。小さな命を守るとともに、安心して子育てできる環境づくりの大切さを訴えていきたい。
厚労省によると、2018年度に全国の児童相談所が対応した虐待に関する相談件数は、15万9850件に上った。前年度から約2万6000件の増加である。
相次ぐ悲惨な事件で関心が高まり、警察や学校、近隣住民などからの相談や通告も増えている。国は22年度までに児童福祉司を17年度比2020人増の5260人とする計画だ。質の確保も含め、体制の強化は重要である。
その上で欠かせないのは、虐待の要因に目を向けることである。
その一つが、核家族化や地域のつながりの希薄化による親の孤立だ。子育て中の親を対象にしたNPO主催のイベントでは、「全てを一人でこなすワンオペ育児で心身ともに疲れ果てた」「社会に取り残されているような不安が専業主婦にはある」といった訴えが相次いだ。こうした“SOS”を見逃してはならない。
課題解決へ、「子育て世代包括支援センター(日本版ネウボラ)」や家庭訪問による「こんにちは赤ちゃん事業」など、子育て世代に寄り添う支援の拡充は急務だ。
一部の自治体で導入されている「LINE」を活用した相談体制も一層普及させたい。子育て世代にとって、面談や電話による直接対話に比べてLINEの方が相談しやすいことは、中学・高校生向けのいじめ・自殺相談でも実証済みだ。
取り組むべき課題はほかにもある。
17年度に虐待死した子どもは65人で、うち心中以外の52人を年齢別で見ると半数超の28人がゼロ歳児だった。多くの事例で実母は「予期しない妊娠・計画していない妊娠」「妊婦健診未受診」であった。虐待のリスクが高い産後うつや多胎児家庭への支援強化も不可欠だ。
一度の相談で終わりではなく、妊婦や親と伴走していく体制を構築する必要がある。