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2019年11月5日

【主張】金融商品の販売 重視すべきは顧客の利益だ

人生100年時代を支える姿勢を金融機関に求めたい。

金融庁が、消費者の利益をより重視するよう金融機関に働き掛けている。生命保険や投資信託などの購入者の間で「金融商品を買うと損をさせられる」との認識が広がっているためだ。

同庁は「顧客の最善の利益の追求」など金融機関が守るべき7項目の原則を2017年に公表したが、順守している金融機関は少ないという。

実際、金融機関への苦情件数が増加し続けている。生命保険会社に寄せられた外貨建て保険・年金の苦情件数だけをみても、2018年度は2543件と14年度の約2.8倍に達した。その大半は高齢者である。

国民生活センターによると、1人暮らしで判断能力の衰えもみられる高齢の女性が、外貨建て個人年金保険を次々に勧誘されて約20件も契約し、そのたびに高額な手数料を支払わされていたケースもあったという。

金融商品の十分な知識がないことや、高齢者の将来不安につけ込んだ極めて悪質な販売方法と言わざるを得ない。

さらに、全国の郵便局で販売されている「かんぽ生命」の個人向け保険で、保険業法などに違反した疑いのある不正な契約が6300件以上も確認されている問題は、金融業界全体に対する不信感を増幅させている。

背景には、顧客の利益よりも自社の利益を優先するという体質的な問題があると指摘されている。

企業の業績の良しあしを判断する基準の一つは株価だ。金融機関も同様で、自社の利益が増えるほど株価が上昇し、経営者の評価も高まりやすい。ただ、株価を重視し過ぎると、従業員への過度な売り上げノルマにつながり、顧客の損失も顧みない営業活動の温床になりかねない。

そこで、欧米では、消費者の利益や地域貢献を自社の業績改善に結び付ける取り組みが主流になりつつある。わが国の金融業界も後れを取ってはならない。

まして超低金利の時代にあって、資産形成に役立つ金融商品は、若者から高齢者まで関心が高い。消費者の信頼を得られるよう金融機関が自ら襟を正す努力が必要だ。

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