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2019年10月31日

【主張】観光客の急増 住民生活との調和どう保つか

観光客の急激な増加によって、地元住民の暮らしが脅かされるような事態は避けねばならない。

先週、北海道で開かれた20カ国・地域(G20)観光相会合で、「観光公害(オーバーツーリズム)」の克服に向けた共同宣言が採択された。

オーバーツーリズムとは、観光客の急増による交通機関の過度な混雑や騒音の発生、治安の悪化、物価高騰など地域社会への負の影響を指す。

世界有数の観光地であるスペイン・バルセロナやイタリア・ベネチアでは、受け入れ能力を大きく超える観光客が押し寄せていることに住民が強く反発し、デモまで起きている。日本でも、一部の観光地で国内外からの観光客によるごみ投棄や渋滞の問題が深刻化している。

観光客にとって訪問先への滞在は一時的なものだが、そこに住む住民にとって生活環境が悪化するようであれば、観光客の受け入れに難色を示すのは当然だ。問題を放置していると、バルセロナやベネチアのように、住民が観光客を敵視するようなことにもなりかねない。

来年は4000万人、2030年には6000万人の訪日客を政府がめざす中、観光客の増加と住民生活の調和をどう保つかは、観光振興策の重要な課題である。

この点、参考にしたい自治体の取り組みがある。

京都市は、閑散期や人出が少ない朝晩に体験できる魅力的な企画を打ち出すことで観光客を分散させ、混雑緩和に一定の効果を上げている。世界遺産の二条城で、夏の早朝に非公開の部屋で食事を提供して好評を博しているのは、その一例だ。

また、合掌造り集落で知られる白川郷(岐阜県白川村)では今年から、人気の高い冬季のライトアップイベントで事前予約制を導入した。政府や自治体、業界団体は、こうした取り組みを共有し、連携して対策を進める必要がある。

オーバーツーリズムは、観光客個人のマナー違反によるところも大きく、地域の文化や住民生活に対する気遣いも求められる。G20観光相会合の共同宣言にもあるように、観光客と地元住民の双方が恩恵を得られるよう知恵を絞りたい。

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