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【主張】国連の資金不足 分担金の確実な支払いが重要
国連が深刻な資金不足に陥っている。10月の国連総会行財政委員会で、グテレス事務総長は「国連が2億3000万ドル(約250億円)の赤字を抱えており、10月末にも資金が払底する」と訴えた。
この赤字額は、過去10年で最大だ。実際、資金不足を理由に継続できなくなった国連の活動も少なくない。加盟国は、国連の資金確保に向けた取り組みを急ぐ必要がある。
特に、人道救援に関わる国連の活動が停止に追い込まれている現状を無視するわけにはいかない。
例えば、国連児童基金(ユニセフ)によると、紛争や自然災害などで不安定になったシリアやイエメン、バングラデシュなど59カ国で生活する、約4100万人の子どもたちへの食料供給や医療支援などに必要な資金額の半分ほどしか確保できていないという。そのため、今年度の最終四半期は、ユニセフの活動の継続が困難となっている。
このままでは、国連加盟国が共有する「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に向けた取り組みが停滞する。貧困と飢餓を撲滅し、「誰も置き去りにしない」世界を実現するというSDGsの理念を今一度想起すべきだ。
国連の資金不足は、加盟国の分担金の未払いに起因する。グテレス事務総長によれば、10月4日の時点で分担金の滞納国は65カ国に上る。中でも、分担金の比率(分担率)が最も高い米国が未払いである影響は大きい。
トランプ米大統領は、米国の負担が過大だとして、分担率の見直しを求めている。しかし、19年から21年までの各国の分担率については、昨年12月に米国も含めた国連加盟各国が合意したはずである。米国など65カ国は、分担金を早急に支払うべきだ。
分担金の未払い問題の背景には、国連に大した力はないと冷笑し、軽視する風潮が強まっていることもある。
言うまでもなく、国連は世界政府ではない。国連創設時に参考にされた、ドイツの哲学者カントの著書「永遠平和のために」で示された構想は、各国が利害の対立を対話で解決しようと努力する場としての国際組織であり、それが国連だ。世界に一つしかない貴重な場を大切にすべきだ。









