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コラム「北斗七星」
解剖学者の養老孟司氏は昆虫採集が趣味だ。ゾウムシの体を一日中観察しても飽きない。眺めるうちに顎の左右に生えた2本の毛に「違い」があることに初めて気付いた◆気付かない時に描いたゾウムシの絵では2本の毛を同じように描いていた。違いに気付いていないから同じように描くのである。この感覚は「匂う」や「音がする」場合にも通じる。「感覚とは、違いがわかることである」と著書『虫の虫』(廣済堂出版)にある。見ているのに見えていない。人生にもよく起こる◆「カップラーメンの値段が分かるか?」。今夏の参院選比例区に挑む公明党予定候補者が地元商店街を歩いていた際、婦人から声を掛けられた◆予定候補者がスーパーで売っている値段を答えると、「値段が合ってるかどうかを聞いてるんやないねん。現場感覚を持った国会議員が少ないから、地方議員出身のあなたは私たちの声を届けられる議員であり続けて」と期待を寄せられたという◆一方で今月、維新の地方議員が体調不良を理由に議会を休んだその日に万博のイベントに参加していた。仮病だったと認めた。どんな感覚なのか。「大衆とともに」の立党精神に生きる公明党議員は違いが分かるはずだ。(鷲)