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2019年10月29日

【主張】ハンセン病補償  差別と偏見を根絶してこそ

ハンセン病に対する差別と偏見に終止符を打つための施策を一層進めるべきだ。

ハンセン病元患者の家族への賠償を国に命じた今年6月の熊本地裁の判決を受け、超党派の国会議員懇談会は、家族1人当たり最大180万円を補償することを柱とする法案の骨子をまとめた。これに基づいた法案が今国会に提出され、成立する見通しだ。

ハンセン病の元患者に加え、その家族にも幅広く救済の道を開くことができたのは、政治が一定の責任を果たしたものと言えよう。

ハンセン病の元患者に対しては、2001年に熊本地裁が国に賠償を命じる判決を下した。当初、国は控訴する方針だったが、当時の坂口力厚生労働相(公明党)の強い主張を受けて控訴を断念。補償金支払いなどの救済策が実現した。

一方で、元患者の家族は補償金の対象に含まれていなかった。しかし、1996年まで約90年続いたハンセン病患者に対する隔離政策は、患者の家族の人生にも深刻な影響を与え、就学拒否や村八分、結婚、就職などで差別を受ける要因となった。

このため、2016年に元患者の家族が熊本地裁に提訴し、同地裁は最大130万円の賠償を国に命じた。今回、超党派でまとめた法案骨子では、補償額を判決より上積みした。また、公明党の主張に沿う形で、原告以外の家族も公平に救済するよう、補償の対象範囲が広げられた。

ただ、補償の対象者の正確な把握はこれからだ。厚労省は2万~3万人と推計しているが、裁判の原告560人余の大半ですら匿名だったことを踏まえると、さらに多いとの指摘もある。対象者が差別や偏見を恐れて補償金の請求をためらうことのないような環境づくりが欠かせない。

何より重要なのは、差別や偏見の根絶に向けた取り組みだ。政府はこれまで、シンポジウムの開催や、中学生向け啓発冊子の配布などを行ってきた。しかし、元患者や家族らは不十分と指摘している。

全国に13カ所ある国立ハンセン病療養所を拠点としながら、入所者との交流や情報発信に努めるなど、具体的な取り組みを一段と強化する必要がある。

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