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2025年6月1日

外国人にも交通ルールの徹底が急務

麗澤大学教授 川上和久

高速道路の逆走事故は、毎年全国で200件ほど発生している。逆走が起きる場所は、インターチェンジ(IC)とジャンクション(JCT)が約7割に上る。

国土交通省によると、2023年は224件の逆走事案があった。このうち39件が事故につながり、8件は当事者が死亡するなどの重大事故だった。高齢者の逆走が多かったが、今年に入り、外国人による逆走事故が注目を集めた。

三重県亀山市の新名神高速道路で5月18日、乗用車が逆走し、避けようとした車に後続車が追突するなど4人がケガをした事故が発生した。この事故ではペルー国籍の男が逮捕、送検されたが、男はペルーの運転免許証を切り替え、日本の免許証を取得していた。

外国の運転免許証を日本の免許証に切り替えるには「外国免許切替(外免切替)」の制度があり、警察庁によると、取得者数が24年の1年間で7万5905人に上り、過去10年間で2.5倍に増えている。

ところが外免切替は、実技試験はあるものの学科試験は〇×式で10問だけ。例えば、車の左側通行という点では右側通行の国の方が多く、標識もきちんと読み取る必要がある中、簡単な試験内容に疑問は残る。

観光などで滞在する外国人が、一時的な滞在先であるホテルなどを住所として取得できる現状なども指摘されており、海外から日本の運転免許を取得できるという触れ込みでツアーを募集しているような実態も報道されている。

在留外国人の増加が見込まれる中、日本で最初から運転免許を取得する上で自動車教習所に通って数十万円をかけて取得する方法に比べると、外免切替は課題の多い制度ではないか。

警察庁は5月21日、住所確認や審査内容を厳格化する方針を表明し、同庁の楠芳伸長官も翌22日の記者会見で「制度により免許を取得した外国人による事故も発生している。改正案を取りまとめ、必要な手続きを進めていく」と述べ、制度の見直しを言明した。

日本は、運転免許を取るのが大変なだけでなく、更新制度も厳格に行って交通事故を抑えている。外国人にも交通ルールを徹底する体制強化を急ぐべきだ。

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