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【主張】小1の壁 朝の居場所確保へ対策進めよ
保育所から小学校への進学をきっかけに、働く親が子どもの預け先に困る「小1の壁」。共働き世帯が増える中、社会の変化に対応した取り組みが急がれる。
小1の壁は、保育所に比べて子どもを預けられる時間が短くなることで生じる問題である。従来から言われてきた放課後の時間帯とともに、保護者の頭を悩ませているのが登校前の“朝の小1の壁”だ。
保育所の多くは午前7時台から子どもを預けられる一方、小学校の登校時間は8時以降が一般的だ。対応できない保護者は子どもを家に残して先に出勤したり、子どもが開く前の校門近くで待つといったケースが生じている。
こうした実態を把握するため、こども家庭庁は昨年、全国の市区町村に対し、子どもの朝の居場所に関する調査を初めて実施した。
今月9日に公表された報告書によると、朝の居場所確保策を実施したり、検討していると答えた自治体は計3.1%にとどまり、対応が進んでいない実態が浮き彫りとなった。
一方で、朝に自宅以外で子どもが過ごせる場所があれば「利用したい」と回答した小学1年生の保護者は4割を超えた。特に都市部で利用を求める声が多く、地域のニーズに応じた対策が必要である。
東京都豊島区では4月から、全区立小学校で朝と放課後の見守りサービスを本格実施している。東京23区では初めての取り組みで、朝は学校の用務員が校内で子どもを見守る体制だ。
大阪府豊中市は昨年4月から、全市立小学校に民間警備会社の見守り員を配置し、7時から体育館などで受け入れている。いずれも公明党の推進で実現した。
多くの自治体では、朝の時間帯に対応できる人員の確保が難しく、実施に踏み切れない現状がある。国は参考になる事例を周知し、各地の取り組みを後押しすべきだ。
小1の壁を乗り越えるには、企業側の協力も欠かせない。柔軟に働ける環境整備を一層促す支援策にも、国は力を注いでほしい。