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外交力第一へ新たな挑戦
公明党の平和創出ビジョンから
日本は「国家安全保障戦略」で、安全保障のために“総合的な国力”を使うと宣言。第一を外交力、第二を防衛力とした。外交力で脅威の出現を未然に防ぐためだ。公明党は9日に発表した「平和創出ビジョン」【ポイント参照】で、外交力発揮の場として「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設を掲げた。その意義と防衛力の役割を解説する。
■党ビジョンのポイント
■Ⅰ.平和の基盤づくり
・「北東アジア安全保障対話・協力機構」創設
・核兵器禁止条約批准に向けた環境整備
・「人間中心のAI社会」へ人材育成、平和利用
■Ⅱ.現実への行動
・ウクライナの地雷除去、復興に注力
・激甚化する自然災害へ各国連携を強化
・SDGs目標達成と新たな目標策定リード
■Ⅲ.ソフトパワーの強化
・教育を守る「学校保護宣言」への早期署名
・海外との友好拡大へ「文化芸術省」創設
・男女平等参画、国際会議の若者参画促す
・広島、長崎、沖縄の3県で国際会議を開催
■対話機構の創設
北東アジアの安定へ信頼醸成の場が必要
2022年に閣議決定された「国家安全保障戦略」は、日本の安全を守るために“総合的な国力”を「有機的・効率的に用いて、戦略的なアプローチを実施」するとした。その“総合的な国力”の第一が外交力であり、防衛力、経済力、技術力、情報力の順で続く。
当時、閣議決定までは防衛力の強化論ばかりが先行していたが、公明党が「外交力を第一の柱に据えるべきだ」と強く主張し、明記された。
「国家安全保障戦略」は、外交力によって多くの国と信頼関係を築き、共存共栄の国際協力を展開するとの方針を示した。公明党の「北東アジア安全保障対話・協力機構」(対話機構)は、その信頼醸成と国際協力の場として構想された。
公明党は政府に対し、外交力第一の実践に向け、対話機構創設への新たな挑戦を求めている。
公明党が対話機構の参考にしたのは欧州安全保障協力機構(OSCE)だ。OSCEは北大西洋条約機構(NATO)と違って軍事力を持たない。冷戦時代の1975年に東西両陣営が参加して設置された欧州安全保障協力会議(CSCE)が、冷戦終結後の95年に常設機構化されてOSCEとなった。
参加国も増え、欧州、北米、中央アジアの57カ国となり、現在では世界最大の地域安全保障機構である。ウィーンに常設事務局と参加国の常駐代表部があり、大使級の実務者が毎週協議をする。ロシアとウクライナなど対立国も含めた対話の場となっている。
CSCEに関しては、「冷戦時代でも信頼醸成を可能とし、核戦争を回避し、冷戦終結にも貢献した」とする専門家の評価もある。現在のOSCEも信頼醸成の対話機構として機能している。
近年のアジアの安全保障環境は厳しさを増している。そこで公明党は、「対立する当事国」が参加する「常設の機構」をアジアでも創設し、信頼醸成、緊張緩和、紛争予防、紛争解決に生かしていくべきだとの考えを表明してきた。
アジアの安全保障対話の場としては、25カ国1地域と欧州連合(EU)が参加する東南アジア諸国連合地域フォーラム(ARF)があるが、年1回の閣僚会合が中心で、OSCEのように常設ではない。
これに対し、公明党のめざす対話機構は、まずは北東アジアに限定し、少なくとも日本、米国、韓国、中国、ロシア、北朝鮮の6カ国を対象とする常設機構を構想している。
■防衛力の役割
抑止力と対処力の抜本強化で有事発生を回避
安全保障のために外交力を第一とした「国家安全保障戦略」は、同時に、憲法9条の下で専守防衛や非核三原則など基本的な原則を維持しつつ「戦後のわが国の安全保障政策を実践面から大きく転換する」とも宣言し、防衛力の「抜本的強化」を打ち出した。
政府は2023年度から5年間で43兆円程度の支出額を見込み、今年度は約8兆7000億円と過去最大の予算となっている。なぜ、外交力第一と掲げながら防衛力の抜本的強化なのか。
これに対し「国家安全保障戦略」は、「わが国に望ましい安全保障環境を能動的に創出する」ための力強い外交の展開を掲げた上で「自分の国は自分で守り抜ける防衛力を持つことは、そのような外交の地歩を固める」と強調。22年12月の会見で、岸田文雄首相(当時)は「防衛力の強化は外交における説得力にもつながる」と訴えた。
公明党も、相手に侵攻をためらわせて有事の発生を回避するための抑止力と、万が一、侵攻されても阻止できるだけの対処力からなる防衛力が、外交力の裏付けであることを認めている。
防衛力の強化として「反撃能力」を保有することは専守防衛の逸脱との批判もあった。しかし、これは相手のさらなるミサイル攻撃を阻止するために発射基地を攻撃することが目的であり、抑止力と対処力の強化の範囲内である。









