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【主張】党平和創出ビジョン 北東アジアに対話の枠組みを
今年は戦後80年の節目であり、平和を希求する機運が高まる一方、ウクライナやガザ地区で紛争が続いており、日本周辺も含めた世界の安全保障環境は厳しさを増している。
日本の安保政策の最上位文書「国家安全保障戦略」は公明党の主張で、外交力を総合的な国力の第一の柱に位置付けている。これを踏まえ、日本は今こそ平和外交を主導すべきである。
公明党は9日、北東アジアをはじめ国際社会の平和構築に向け、17分野の提言を示した「平和創出ビジョン」を発表した。
ビジョンの中核を成すのが、平和外交の場として信頼醸成を図る「北東アジア安全保障対話・協力機構」の創設である。公明党は、北東アジアの平和と安定には対立国を含む多国間の対話による信頼醸成が不可欠と考え、欧州安全保障協力機構(OSCE)を参考に議論を深めてきた。
OSCEは57カ国が参加する世界最大の地域安保機構だ。冷戦下で東西対話を促進し、1995年に常設機構化された。現在も大使級の実務者が頻繁に集まって協議している。
一方、現在のアジアにはOSCEのような機関がなく、緊張緩和や信頼醸成に向けた常設の対話枠組みが求められる。北東アジア安全保障対話・協力機構には日本、米国、韓国、中国、ロシア、北朝鮮を少なくとも含める想定だ。
言うまでもなく、同機構の実現には各国の賛同が欠かせない。重要なのは、対話のテーブルに着きやすい環境をつくることだ。この点、ビジョンでは、災害対策や気候変動対策などの共通課題から対話を開始することを提案している。
公明党は、こうした構想について識者や外交関係者と意見交換を重ねてきた。国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)からは「大きな意義がある」と高い評価が寄せられている。
公明党は今後、「平和創出ビジョン推進委員会」を設置し、構想のさらなる具体化をめざす。対立を協調へと導く平和の潮流をつくり出す決意である。