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【主張】氷河期世代の支援 将来への不安拭う対策を急げ
政府は4月25日、バブル経済崩壊の影響を受けた「就職氷河期世代」への支援を強化する方針を打ち出した。「就労・処遇改善」「社会参加」「高齢期」への支援を3本柱として6月に具体策を取りまとめ、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映させる。
不本意ながら低賃金や無業状態になっている人たちの将来不安を拭う支援を急がねばならない。
氷河期世代は1990年代半ばから約10年間に就職活動をしたが、景気低迷で新卒採用が大幅に減少し、非正規雇用で働かざるを得ないケースが相次いだ。その後も安定した職業に就けなかったり、ひきこもり状態に陥るなど、今なお多くの人が困難に直面しており、政府によると支援が必要な人は約80万人に上る。
このまま高齢化すれば生活は困窮しかねず、生活保護世帯の増加が懸念されるなど、わが国の将来にも影響を及ぼしかねない。政府は当事者に寄り添いつつ、安定的な職業に就き、老後に備えられるよう実効性ある支援策を実施すべきだ。
まず重要なのは、就労支援の強化だ。政府は2024年度までの5年間で集中的に支援し、31万人を処遇改善に導くなど成果を上げてきた。一方で、より安定的な収入を得たいと考えている当事者は少なくない。
リスキリング(学び直し)といった職業訓練の充実は是非進めたい。また、既に正社員となった人も他の世代に比べて勤続年数が短かく、十分に賃金が伸びない実態が指摘されており、能力や仕事内容に応じた処遇改善も課題となろう。
さらに、政府方針で注目すべきは、氷河期世代の高齢化を念頭に置いた支援を新たに掲げたことだ。
とりわけ高齢者の住まい確保は、大家の理解が得られない現状や家賃負担の重さなどから困難が付きまとう。安心して暮らし続けられる支援策が求められる。
安定的に家計を支える面で公的年金が果たす役割も大きい。公明党は参院選重点政策で年金水準の底上げを主張している。丁寧に議論していくことが重要だ。