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2025年5月7日

【主張】鉱物資源協定 米・ウクライナの協力関係強化重要

米国とウクライナが先月30日、ウクライナ国内の鉱物資源などの採掘事業を共同で進めるための「復興投資基金」の設置に関する協定(鉱物資源協定)に署名したことを評価したい。

この協定には、米国がウクライナの安全保障と復興、繁栄への長期的な関与を約束するとともに、ロシアに対する批判のトーンを強める文言が含まれていることが重要だ。とりわけ、注目すべきは「ロシアによるウクライナへの全面的な侵略」という表現が用いられている点である。

米国のトランプ政権はこれまで、ロシアとの交渉の妨げになるという理由で、ロシアが重大な国際法違反を犯していることを意味する「侵略」という言葉の使用を避けてきた。そして、軍事力が強大なロシアと戦争をするウクライナは愚かであると言わんばかりに、ウクライナに大幅な譲歩を迫ることもあった。

それが一転、鉱物資源協定では「ロシアの全面的な侵略で大規模な破壊がもたらされていることを受け、平和で主権を有し、強靱なウクライナを希求すべく、米国とウクライナは戦略的な協力関係を強化する」と明記された。トランプ政権はウクライナに寄り添う姿勢を鮮明にしたのである。

一方、復興投資基金については米国とウクライナの両国が50%ずつ拠出して共同で運営し、鉱物資源や石油、天然ガスなどの採掘事業に投資する。全ての資源を管理する権利はウクライナが保持するため、トランプ政権がかつて主張していた、ウクライナの資源の大半を米国が所有することにはならない。バイデン前政権による軍事支援の全額に相当する金額の返済もウクライナに求めなかった。

ウクライナの民間人や民間施設を意図的に狙って、首都キーウを含む各地にミサイルや自爆ドローンを発射するロシア軍の激しい攻撃が続く中、鉱物資源協定により、米国がウクライナにミサイル防衛システムの供与などの支援の継続も約束した意義は大きい。日本も米国や各国と協力し、できる支援を行いたい。

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