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【主張】点字誕生200年 視覚障がい者の尊厳守る功績甚大
視覚障がいのある人が読み書きするための点字は、五十音やアルファベットに加え、数字や音楽記号なども表せる幅広い表現力を持つ。その重要な価値を未来へと伝え続けていきたい。
公明党が発行する点字機関誌「点字こうめい」(5月、11月発行)の第90号となる最新号が完成し、9日から公明出版サービスで発売する。今年は点字が考案されて200年の節目で、同号の特集企画としている。
点字はフランスで発祥した。1825年に、パリの盲学校生徒で当時16歳のルイ・ブライユが、同国で軍事目的に使われていた12点の組み合わせから成る「夜間文字」を6点式に改良し誕生させた。
指で触って読み取ることができ、容易に書くこともできる有用性などから、フランス政府が1854年に公式文字として認めた。やがて各国の言語に合わせた改良が進み、世界140余りの国々で利用されるまでに広がっている。
日本には明治時代に伝わり、盲学校教師の石川倉次がブライユ考案の点字を五十音に合うよう改良し「日本点字」の基礎を築いた。点字を通し、視覚障がい者が健常者と同様に自らの考えを表現したり、読書や学習に励んだりできる道を開いた意義は大きい。
1980年に創刊された「点字こうめい」は、その時々の視覚障がい者向けの話題をはじめ、党の主張や取り組みなどの情報を提供してきた。公明党が長年、点字による出版物を刊行してきたのは、当事者の立場を尊重する共生社会の実現をめざしているからである。点字文化を継承する観点からも評価されよう。
点字は今や暮らしの中で欠かせない存在でもある。エレベーターのボタンや階段の手すり、アルコール飲料の缶、トイレの操作パネルなど、さまざまな場所に表示され、視覚障がい者の生活を支えている。
点字が視覚障がい者の“明かり”となって、尊厳を守ってきた功績は甚大だ。点字の持つ力を改めて認識し、社会で一層活用される環境を整えたい。