ニュース
コラム「北斗七星」
きょうから5月。しかも夏も近づく八十八夜、古来、茶摘みの最適期でもある。「行脚とめてはなす八十八夜かな」(正岡子規)。子規は四国の人。行脚はこの場合、遍路をさすようだ。青葉の輝きの中、八十八カ所巡りの人がお茶の香りの中を語らう姿をさすのか◆「さつきばれ青葉の花は散り果てず」(日野草城)。今月は別名「皐月」とも呼ばれる。諸説あるが「早苗月」の略という説が有力だ◆この時期、東北日本など、田植えに取りかかる農家も多かろう。冷害や病虫害、高温障害がなく、豊作となることを祈る。また米価の安定は暮らしの安定にもつながる。おいしい米が手頃な価格で購えるよう願う◆「鮭の子の下る八十八夜とか」(高野素十)。東大医学部卒でスポーツ万能、句誌「ホトトギス」を代表する「四S」の一人でもあった高浜虚子門下の俊英は、初夏に生まれた川を下り大海に泳ぎ出す鮭の稚魚に、自身を投影していたのだろうか◆このゴールデンウイークに際し、旧友との交流を計画している人も多いだろう。清新で爽やかな青葉の風の中、胸襟を開き、党の政策など多様な視点から、対話の大海に身を委ね、有意義な語らいで旧交を温めることを決意している。(唄)