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2025年4月18日

【主張】AI法案 活用への懸念に応える議論を

人工知能(AI)の開発促進と安全確保の両立をめざす「AI関連技術の研究開発・活用推進法案」が現在、衆院で審議されている。安心してAIを活用できるよう、国民の懸念に応える議論が求められる。

AIに特化した法整備は初めてだ。首相が本部長を務める「AI戦略本部」を政府に設置し、研究開発に向けた基本計画を策定するとともに、AIによって著しい人権侵害などが発生した場合に政府が事業者を調査し、助言や指導を行う。

近年の急速な技術進化によって、世界は本格的なAI時代を迎えている。事業の効率化や高度化、新産業の創出など、AIは今後の経済社会発展の基盤として不可欠な存在と言っても過言ではなく、その活用促進は極めて重要である。

しかし、わが国におけるAIの活用度や技術開発に対する投資額は、各国に比べて見劣りする。

日本のIT関連の輸出額から輸入額を差し引いたデジタル収支の赤字は、この10年で3倍以上に拡大している。このままデジタル分野における国富の海外流出が続けば、経済成長も阻害しかねない。AI活用のあり方が国の将来を左右するだけに、法制定を機に国際競争力を高めていきたい。

一方、最大の課題はAIが抱えるリスクへの対応である。偽情報の拡散や知的財産権の侵害、犯罪への悪用など、さまざまな問題が指摘されており、活用への警戒心は根強い。信頼性を高めて利用環境を整えねばならない。

AI事業者は、利用者の権利や安全への配慮といった情報を適切に開示すべきだ。AI技術を扱える人材育成も求められる。

法案では、事業者に対する罰則は規定されていないが、政府は既存の法令などで厳格に対応していく必要がある。法案審議では、リスク対応の実効性について十分に議論してほしい。

AIの利活用において大切なのは、最終的な意思決定は「人間が行う」との理念である。人間社会を豊かにするAIの適切な制御や利活用の姿も確立したい。

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