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日トルコ 新たな友好開く
党訪問団 山口代表にインタビュー
経済、教育で連携強化
副大統領や副党首など 幅広く交流、大学講演も
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23日からトルコ共和国を訪れていた公明党訪問団の山口那津男代表(団長)、山本香苗参院副会長(参院議員)、佐藤英道衆院議員が27日、全ての日程を終え、帰国しました。トルコは、欧州とアジアの接点に位置し、人口約8200万人、国土面積が日本の約2倍。日本との間には、1890年、和歌山県串本町沖で遭難したトルコ人を日本人が救援したエルトゥールル号事件など友好の歴史があります。両国の友好関係の発展に向けた訪問の成果について、山口代表に聞きました。(羽場正文)
――今回の訪問を振り返って。
まずは今回の訪問の実現に尽力された、ムラット・メルジャン駐日トルコ大使をはじめとする関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。党として初めてのトルコ訪問であると同時に、イスラム圏の国からの招請による初の公式訪問となり、公明党の政党外交の歴史に新たな一ページを開くことができました。
両国は近年も、1985年のイラン・イラク戦争での日本人救出や、東日本大震災、トルコ地震における双方の救援活動など、大変な時に助け合い、友好を深めてきました。今日、そうした歴史的な友好関係を礎に、政治、経済、安全保障など幅広い分野で戦略的パートナーの関係に進んでいます。その意味で今回、政党間をはじめ、政府や議会、議員、民間などの幅広い交流を重ねることができたのは大きな成果でした。
――オクタイ副大統領や、今回の訪問を招請した与党・公正発展党のクルトゥルムシュ副党首と会談した感想は。
オクタイ副大統領は会談で、現在、政府間で交渉を進めている日トルコ経済連携協定(EPA)に期待を示し、早期締結に向けて努力していくとの認識を共有しました。また、副大統領からは第三国での協力にも言及があり、アフリカ開発での協力の可能性が話題になるなど、今後の両国関係の発展に向けてさらに連携を深めていくことを確認しました。
公正発展党は政権を中心的に支える政党です。互いに政権運営の責任を担う政党として、率直な意見交換ができました。特に、副党首が「国民の声を聞くことが政党として大事だ」と語っていたことが印象的です。実際に国民の声を聞く仕組みを作り、政策や政権の運営に反映させようと努力する試みは、公明党の取り組みとも相通じるものがありました。今回の訪問が信頼関係を構築する大きな一歩になったと思います。
職業訓練のためのシリア難民支援施設に併設された育児待機所で、子どもたちと交流=24日 アンカラ(撮影・羽場正文)
――国立アンカラ大学の講演の中で、公明党の取り組みや今回の訪問における会見などを踏まえ、両国の関係発展に向け、いくつか提言されました。
はい。まず、人的交流の抜本的な拡大です。中でも、両国の関係を将来、担うべき若者を育てることが次の時代に向けて最も重要な取り組みであるとの観点から、留学生の拡大や就職環境の整備を訴えました。また、大学間の交流だけでなく、観光・ビジネス分野も含め、多くの人々の往来を安定させていく基盤づくりも大事です。
経済交流に関しては、貿易拡大やインフラ整備、防災など協力分野が広がっています。EPAの早期締結を後押しし、そうした協力の推進力をつくっていきます。また、海洋でつながった国同士、難民支援も含む安全保障分野での緊密な連携や対話の重要性も訴えました。
――シリア難民支援施設をはじめ、日本と関係の深い施設や事業を精力的に視察しました。
トルコは国境を接するシリアから350万人を超える難民を大事な客人として受け入れ、職業訓練や就職支援などで社会生活を支えています。しかし、そこには課題もあり、国際社会の相互理解や連携、協力の下で支援が行われていくことが、広い意味での安全保障上望ましいと感じました。人道支援の観点から、今後の日本の協力のあり方について検討していきます。
一方、海峡を結ぶ大橋など日本との協力の成果についても調査しました。中でもボスポラス海峡横断地下鉄(マルマライ)は、実際に乗車して、アジアと欧州を結ぶ交通の動脈として多大な貢献をしていることを確認しました。来年の開院に向けて準備が進む、トルコ最大規模となるイキテリ病院も両国の協力の象徴として、トルコの皆さんに喜んでもらえることを期待しています。
今回の訪問の成果を日本とトルコの間のさまざまな協力や支援に反映させるとともに、両国が国際社会の平和と安定に貢献できるよう全力で取り組んでいく決意です。