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【主張】フリーランス “新しい働き方”の環境整備急げ
特定の企業や団体に雇用されるのではなく、個人で仕事を請け負うフリーランス。情報通信関連の技術者やデザイナー、ライター、講師、俳優など多岐にわたる。
内閣府の試算では300万人を超えている。個人のライフスタイルに応じて仕事ができるため、育児中の人や定年退職した高齢者などの働き方としても注目されており、今後も増えるとみられている。
企業にとっても、事業のスリム化によって生産性を向上させる上で、業務の外注先として重要性が増している。
にもかかわらず、労働者としての法的な立場は心もとない。現在の法制度では最低賃金は適用されず、雇用保険による失業給付や労災保険給付も対象外だ。
加えて、立場の弱さにつけ込んだ発注側から、過大な仕事量や低報酬の仕事を押し付けられたり、パワハラやセクハラといった人権侵害を受けるケースが後を絶たない。
これでは生活基盤の確立は容易でなく、安心して働き続けることはできない。社会のセーフティーネット(安全網)の外に置かれた状況は、早急に改善すべきである。
現在、厚生労働省の検討会が、労災保険の適用や、取引先との対等な立場を保つために必要な法整備などについて論議を進めている。公明党が求めている相談窓口の整備やスキルアップ支援と共に、実効性ある対策を打ち出してもらいたい。
また、公正取引委員会は、フリーランスの人たちが被っている不利益について実態把握に努める方針を示している。法外な要求をするような発注元は、公表も含めて厳しく対処すべきである。
最近、海外でも注目すべき動きがあった。
米カリフォルニア州で、インターネットを介して仕事を請け負う個人を、従業員と同様に扱うよう企業に促す法律が制定され、企業は最低賃金の保証などが求められるという。フリーランス保護は国際的な流れであると言えよう。
ただ、発注する企業などにとって過度なコスト負担となっては、結果的にフリーランスの仕事が減ることにつながりかねない。こうした点に十分留意すべきであることも指摘しておきたい。