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10月1日から推進法施行 「食品ロス」削減の動き加速
まだ食べられる食品を捨てることに歯止めをかける「食品ロス削減推進法」が来月1日施行される。国内で年間643万トン発生している食品ロスの削減を国民運動として進めていくのが狙いだ。公明党が強力に推進してきた同法の施行に合わせ、削減の動きも加速している。先進的な取り組みを進める自治体や企業などを紹介する。
福井県は「食べきり運動」
食品ロス削減の意識啓発につながるコースターを活用する福井市の企業「ウェルアオッサ」
「県を挙げた取り組みによって、食品ロス削減への機運は高まっている」。福井県安全環境部循環社会推進課の松田祐民子主任は、時間をかけた運動に手応えを感じている。
同県は2006年度から、「おいしいふくい食べきり運動」事業をスタート。県内の外食店に呼び掛けて、「食べきり協力店」の登録制度を進めてきた。協力店には、ハーフサイズや小盛りメニューの設定、持ち帰り用のパックの提供、食品ロス削減につながる店内表示など、その店に合った取り組みを促す。
福井市で宴会場などを提供する株式会社「ウェルアオッサ」は、今年6月に登録した。食べきり運動の概要とともに「食品ロス削減にご協力を!」と印字されたコースターを作り、食品ロス削減への協力を呼び掛けている。同社の西端和人営業部長は、「少しでもお客さまの意識向上につながれば」と語る。
現在、同県の登録店は1092店舗まで増えた。各店舗には、利用者向けのポスターやチラシを配布するとともに、登録店の一覧をウェブサイトで公開。県によると、地域イベントで行ったアンケートでは8割の県民が「食べきり運動を知っている」と回答するなど、県民の認知度はすこぶる高い。
県は家庭での食品ロス削減をアピールするほか、保育園などでの婦人団体による食育の実施にも取り組む。
協議会設立、全国から402自治体参加
こうした動きを全国にも広げようと、16年には県の呼び掛けで「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」を設立。全都道府県から402自治体(9月19日現在)が加盟している。長野県松本市や京都市で先進事例の紹介やパネルディスカッションなどを行う全国大会を開催し、10月末には徳島市で第3回の大会を開催する。
大手コンビニ
消費期限近い食品の購入でポイント還元
大手コンビニエンスストアも対策に乗り出している。
ローソンは6月から8月末まで、愛媛県と沖縄県の約450店舗で消費期限が迫った弁当などを購入した客に対し、ポイントを付与する実験を実施した。対象商品を買うと、100円につき5ポイントが消費者の持っている共通ポイント「ポンタ」か、NTTドコモの「dポイント」に還元される。対象商品の売上高の5%は子育て支援団体に寄付される仕組みも設けた。同社の広報担当者は「『値引きだけでなく、子どもたちへの支援にもつながる』と利用者からも好評だった」と消費者の関心の高さを語る。
セブン―イレブン・ジャパンも今年から全国約2万店舗で同様の取り組みを行う方針だ。ファミリーマートは、恵方巻きなど季節商品を完全予約販売にするほか、おでんの廃棄を減らすため、客の注文を受けてから調理する「レンジアップおでん」を2020年から希望する店舗へ導入する。
公明 プロジェクトチーム設置など強力に推進
食品ロス削減を、国や自治体、消費者や事業者が一体となって取り組む「国民運動」と位置付けているのが「推進法」の特長だ。政府は食品ロス削減の推進に関する基本方針を今年度中に策定し、その方針を踏まえ都道府県や市町村は削減推進計画を作り、対策を実施する。
国や自治体は、消費者に対し必要量に応じた食品の購入や、食品をムダにしないための自立的な取り組みを求めるほか、貧困世帯に食料を提供する「フードバンク活動」にもつなげていく。
公明党は、食品ロス削減を一貫してリードしてきた。政党の中でいち早く党内にプロジェクトチーム(PT)を設置し、全国各地での調査活動を展開。16年5月に食品ロス削減に向け国を挙げて取り組むよう政府に提言を行った。18年12月に発足した食品ロス削減に関する超党派の議員連盟では、公明党が法整備に向けて合意形成の中心的な役割を担ってきた。