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警報機や遮断機なし 対策急がれる第4種踏切
全国 2700カ所、通学路にも
「警報機や遮断機があれば……」。こう語るのは、神奈川県逗子市の60代女性。今年3月、92歳男性が電車にはねられ死亡した踏切の近くに住む。
この踏切は長さ約35メートルあり、JR横須賀線など計9線が通る。警報機や遮断機のない「第4種踏切」だ。近くに住む別の60代女性は、現場の踏切について「足の弱い高齢者が渡り切るには時間がかかる。日頃から危険を感じていた」と指摘する。
国の運輸安全委員会は8月29日、昨年12月に埼玉県羽生市の秩父鉄道秩父線の4種踏切で起きた59歳女性の死亡事故を巡る調査報告書を公表した。
同踏切は長さ19メートルで、小学校の通学路にも指定されていることから、鉄道事業者などに「廃止または保安設備整備の協議を進め、具体的な取り組みが必要」と改善を求めている。
踏切の種類には、こうした4種踏切のほか、警報機と遮断機の両方が付く「第1種踏切」、警報機のある「第3種踏切」がある。いずれもが、黄色と黒の模様の板をX字に組み合わせた警標を備え、遠くからでも通行者に踏切と分かるようになっている。一部時間帯のみ係員が遮断機を操作する「第2種踏切」は、現在、利用されていない。
全国で約3万3000カ所ある踏切のうち、4種踏切は2700カ所を超える(2018年3月末現在)。JRなど鉄道各社は、事故防止に向け、4種踏切や3種踏切の改善を検討。1種踏切への格上げを地元自治体などと協力して進めようとしている。
一方で、4種踏切を巡っては悩ましい現実もある。その半数は一日の通行人数が10人以下で、警報機と遮断機をセットで設置すると約1300万円かかることもあり、取り組みが思うように進んでいない。踏切を廃止する場合も、歩道橋や近隣踏切への迂回路整備などで課題が多い。
公明、危険箇所の安全確保を推進
公明党は、4種踏切など危険な踏切の安全対策を推進している。全国各地で、国、地方議員が連携し、遮断機設置や歩道整備を実現させたほか、廃止に向けた地域の合意形成でも力を尽くしてきた。
16年には、国の判断で鉄道会社などに改良を義務付けることができる改正踏切道改良促進法の成立に尽力。国会質疑でも4種踏切の改善を訴えるなど、誰もが安心して利用できる踏切へ、党を挙げて取り組みを進めている。