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【主張】就職氷河期世代 採用側の発想の転換も必要だ
30歳代半ばから40歳代半ばの年齢で非正規雇用として働く人は、少なくとも約371万人いる。この世代の就職時期は、バブル崩壊後の不況で正規雇用が極端に減った「就職氷河期」だ。
今、景気が回復傾向にある中で、いまだ多くの人が不安定な生活を余儀なくされている現状は早急に改善しなければならない。
政府は、2020年度予算概算要求に総額1344億円に上る就職氷河期世代の支援策を盛り込んだ。ハローワークへの専門窓口の設置やリカレント教育(学び直し)の支援、就職氷河期世代を正社員として雇用した企業への助成金の拡充などが柱だ。
これまでも政府は、若者の就職支援を行う「地域若者サポートステーション」の利用対象年齢の引き上げなどの対策を講じてきたが、就職氷河期世代の雇用改善を一層進めるためにも支援策を加速させることは重要だ。
その上で指摘したいのが、企業側の発想の転換である。
日本経済は今、深刻な人手不足に直面している。中でも、働き盛りの中堅の獲得が難しい。にもかかわらず、なぜ企業は就職氷河期世代の採用に目を向けないのか。
理由として、失業や非正規雇用の期間が長いことによる、職場でのコミュニケーション能力の不足を指摘されることが多い。
とはいえ、就職氷河期世代は若手と年配の中間に位置する年齢だ。例えば、厚生労働省のキャリア形成に関する報告書の通り、企業における世代間の価値観の差を埋める「つなぎ役」になれる可能性があるとの指摘は重要だ。
また、年功序列型の賃金体系の下で就職氷河期世代を採用するのは企業の負担が大きいとの声もある。この点、来年4月に大企業から適用される「同一労働同一賃金」は、企業の懸念を和らげる側面もあろう。
就職氷河期世代のやる気にも注目したい。兵庫県宝塚市が同世代を対象に正規職員を募集したところ、定員の600倍を超える申し込みがあった事実は、就労意欲の高さを物語っていると言えよう。
就職氷河期世代を貴重な戦力とみる人材戦略を企業に求めたい。









