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【主張】軽減税率と中小業者 経理事務の特例 なお周知必要
10月からの消費税率10%引き上げ時に導入される軽減税率により、飲食料品全般は税率8%に据え置かれる。このため、軽減税率の対象品目を取り扱う事業者の準備が急ピッチで進んでいる。
政府は、事業者の経理事務負担が重くならないよう対応策を設けている。
現在の消費税は8%の単一税率であるため、売り上げにかかる消費税の総額から仕入れにかかる消費税の総額を差し引いて納税額を算出する。
軽減税率が導入されると、日常的に帳簿や請求書の軽減税率対象項目に印を付けるなどして、標準税率対象と区分した上で納税額を計算しなければならない。
そこで政府は公明党の主張を受け、経理に関する事務の変更ができるだけ少なくなるようにした。また、課税売上高1000万円以下の事業者の納税義務を免除する制度も残す。
ただ、それでも税率ごとの区分は、特に、中小企業にとって煩雑になるケースも想定される。
複数税率に対応できるように今回、消費税額を概算で納められる特例を設けた。
具体的には、4年間の経過措置として、課税売上高5000万円以下の中小企業について、売上総額の一定割合を、軽減税率の対象品目の売り上げとみなして納税額を計算する「みなし課税方式」を選択できるようにする。
その際に用いる軽減税率対象の売上割合は、(1)仕入れ総額に占める軽減税率対象の割合(2)通常の連続10営業日の総売上高に占める軽減税率対象の割合――のいずれかの方法となる。両方とも算出できない場合は、売上高の半分を軽減税率対象とみなす。
一方、仕入税額の算出についても、1年間の経過措置として、課税売上高5000万円以下の中小企業について、売上額の一定割合を、軽減税率の対象品目の仕入額とみなして簡単に計算する簡易課税制度の適用を受けられるようにする。
こうした納税事務の特例措置を十分認識していない経営者はなお少なくない。不安を一つでも解消するためにも、国は、各地の税務署などと連携を取りながら丁寧な周知に努めてほしい。