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2019年9月6日

被災者の事業再建で成果

東日本大震災8年6カ月 
発足4年 福島官民合同チーム 
「何でも相談できる存在」 
売り上げ倍増、新商品も実現

大清水さん(左)は担当者を「父親みたい」と慕う。再開1年を目前に控え2年目の取り組みを打ち合わせた=3日 福島・浪江町

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から、まもなく8年6カ月。原発事故で被災した福島県内12市町村の商工業の事業再開を支援する「福島相双復興官民合同チーム」が、発足から4年を迎えた。現在では、個々の事業者のみならず、まちづくり支援などにも乗り出している。血の通った伴走型の支援で、福島復興に挑むチームの取り組みを追った。

「今日の分は完売したんで、ランチは終わります」。浪江町の居酒屋「こんどこそ」の店主、大清水一輝さん(32)が合同チームの担当者にしたり顔を見せる。午前11時の開店から復興作業員や常連客らが押し寄せ、わずか1時間半後、入り口に「本日完売」の紙が張られた。

ここは、店主の母親が1986年に始めた地元の人気店だった。原発事故で避難を強いられた後、昨年9月5日に再開。避難先の二本松市で親が再開した店舗も含め、好調な業績を支えているのが合同チームだ。

ランチ営業の定番メニュー「バラ焼き定食」。こんもり盛られた、ご飯の大盛りは無料

担当者が初めて訪問したのは2016年5月。経営が悪化していた二本松店の損益状況から課題を洗い出し、メニュー改編や原価率の引き下げ、補助金を活用した看板の設置など、次々に手を打ち大幅な経営改善を果たした。

浪江店についても、事業計画の作成から各種補助金の申請、メニュー作成など、二人三脚で準備を進め、再開にこぎ着けた。訪問数は優に50回を超え、18年度の2店舗合計の売上高は、16年度比で2倍に伸びた。今も、管理経営の定着化へサポートを惜しまず、大清水さんの地元復興への熱意に呼応する。大清水さんは「垣根なしで何でも相談できる存在。担当者のおかげで今がある」と言い切る。

「背中押してくれた」

担当者と今後の販路開拓に向けて意見を交わす横川専務(左端)と横川徳明社長(中央)=3日 福島・南相馬市

創業約110年の老舗菓子店「松月堂」も今年8月、合同チームの支援を受けて地元の南相馬市小高区で再開を果たした。4代目の横川裕信専務(38)は、「地元に戻りたい思いはあったが、商売が成り立つか不安だった。担当者が背中を押してくれて実現できた」としみじみ語る。

担当者と戦略を練る中で再開を決断し、福島県産の材料にこだわった焼き菓子「相馬野馬追焼」を開発。1000有余年の歴史を誇る「相馬野馬追」と、ロボットなどの実証拠点として整備が進む「福島ロボットテストフィールド」とのコラボ商品として地元復興を担い、第2弾も開発中だ。

5300社を個別訪問 地元で再開30%に拡大

官民合同チームは2015年8月、“お役所仕事”のような受け身ではなく、自ら動き大胆な支援に徹することを柱に発足。「被災者の立場に立つ」「聞き役に徹し、とことんまで支援」「地域復興への高い志」などの「五箇条」のモットーが、その覚悟を象徴する。

これまでに、避難区域が設定された12市町村の約8000事業者のうち、約5300の事業者を訪問。再訪やコンサルティング活動も合わせ、訪問累計は約3万5000回を数える。

その上で、国と県、民間が一体となった組織の強みを生かし、経営改善や販路開拓、人材確保などで個々の事業者に寄り添ってきた。地元で事業を再開した割合は、16年1月時点で21%だったが、今年7月時点で30%まで上昇した。

また、17年4月から農業者への個別訪問も実施し、約1600人の思いを聴取。昨年末の意向結果で、「再開済み」「再開意向あり」としたのが全体の40%を占めたため、空き農地の紹介や農地集約による大規模化、新技術の導入などの支援を弾力的に行っている。

一方、個々の事業者支援に限らず、広域的・多角的な支援で地域全体の復興もサポート。全12市町村に専門家チームを派遣してまちづくりを支援するほか、地元事業者と外部の進出企業とのマッチングをめざす「ビジネス交流会」も開催している。被災地での起業を望む人たちへのコンサルティング活動も開始した。

新居泰人専務理事は「月日がたつごとに事業者の心境も変化し、復興の度合いに差が出てきている。われわれも、蓄積してきた知見やノウハウを基に、支援の仕方を進化させながら取り組んでいきたい」と強調する。

公明、一貫して推進

官民合同チームは、公明党の高木陽介経済産業副大臣(当時)が最高責任者となって発足し、現場主義を徹底してきた。

党としても、与党の「第5次復興加速化提言」で、被災事業者への個別訪問を通じた実態・課題の把握により、各種支援施策で後押しする体制整備を要請。17年7月には、公明党が推進した改正福島復興再生特別措置法によって体制を強化するなど、福島復興を全面的にバックアップする環境整備を推進してきた。

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