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2019年9月3日

防災・減災 必要な視点

大規模地震 本気の準備が被害抑制 
関西大学社会安全研究センター長 河田惠昭・特別任命教授

河田惠昭特任教授

8月30日から9月5日の「防災週間」に合わせ、「防災・減災」の推進で必要な視点について識者の見解を聞いた。

――防災・減災対策で重要な視点は。

河田惠昭特任教授 防災・減災は、あらゆる政策の中で第一に取り組むべき課題だ。なぜならば、災害は一瞬にして建物を壊し、尊い人命まで奪う。社会が豊かになるために行ってきた投資や努力が無に帰し、国力を失うことにつながる。

日本では特に、首都直下地震や南海トラフ地震といった数十万人の犠牲者が想定される大規模地震への備えが重要だ。起こることを本気で想定して準備しないといけない。

災害時の初動対応は、過去の教訓を生かし改善している。しかし、被災者の生活再建に関しては十分ではない。現行制度では、大規模地震が起きたら災害弔慰金だけでも1兆円を超えることも考えられる。こうした問題に解決の見通しが立っているとは言えない。

そうならないためにも対策費に予算を使う方が合理的だろう。小さな災害でも被災者の共通意識は「きちんと対策しておけば良かった」という後悔だ。そういうことを繰り返すべきではない。

災害対応、復旧・復興 効率考え国を“司令塔”に

――災害対応や復旧・復興の司令塔が必要という議論もある。

河田 災害には基本的に自治体が対応するが、複数の自治体にまたがる大規模災害において、バラバラに対応したら、スピード面、コスト面でも効率が悪く、復旧・復興の遅れにつながる。だから、国が司令塔となって被災自治体に対して方針を示さないといけない。あくまでも司令塔であり、実権や予算を握ってコントロールするわけではない。各省庁をどう連携させるか、被災自治体がどう対応すべきかなどをマネジメントすることが重要だ。縦割り行政を脱し、関係機関を同じテーブルに着かせ、大規模災害を想定した復興計画を準備し、被害の対応に当たってもらいたい。

――公明党は防災・減災を社会の主流にしようと取り組んでいる。

河田 社会の主流というのは良い発想だ。ぜひとも取り組みを進めてもらいたい。防災・減災を日本の文化にすべきだと考えている。大雨予報やハザードマップなどの情報が住民には提供されているが、避難しないことが問題となっている。人は“サイエンス”では動かない証左だ。

かつて隣近所と助け合う文化があったように、生活に密着した文化を新たに構築する必要がある。一挙に解決する策はないが、できることから積み上げ、防災・減災を生活の中に定着させたい。

かわた・よしあき

1946年生まれ。阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長。京都大学大学院工学研究科博士課程修了。

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