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【主張】年金財政検証 一段の制度強化で安心の底上げを
さまざまな経済状況を想定し、将来受け取ることができる公的年金の水準を試算する財政検証の結果を厚生労働省が公表した。
5年に1度の財政検証は年金の「定期健康診断」とも言われる。今回の結果は、当面は健康上の大きな問題がないものの、体力強化も促していると言えるのではないか。
まず確認されたのは、2004年の制度改正で築いた、向こう100年を見据え年金を安定的に運用する枠組みは揺らいでいないという点だ。
財政検証では、経済成長の度合いなどを6通りに分けて推計した。
経済が堅調に推移した標準的ケースでは、現役世帯の平均手取り収入に対するモデル世帯の年金額の割合「所得代替率」が、現在の61・7%から、47年度以降は50・8%となる。出生率向上や女性と高齢者の労働参加が進むとして、前回検証の標準的ケースに比べ0・2ポイント改善した。
少子高齢化で「支え手」の現役世代が減り、「支えられる」高齢者は増え続ける。その中で制度を維持するため、給付水準の低下が避けられないながらも、04年の制度改正で政府が約束した「50%以上」を長期に維持できると確認された意義は大きい。
一方、経済が停滞した想定では、40年代に所得代替率が50%を下回ることも示された。こうした事態を避けるには、少子化対策に粘り強く取り組み、女性や高齢者の就労を後押しして安定的な経済成長を進めることが大前提だ。
その上で、年金制度のさらなる基盤強化が欠かせない。
この点、厚生年金のパートなどへの適用拡大や、受給開始年齢の上限引き上げなど、制度を変更した場合の試算は注目に値する。いずれも将来の年金水準の底上げに効果があるという。
加えて、国民年金にしか入っていないなどの低年金対策も重要だ。まずは、10月から始まる低年金者への年間最大6万円の給付金の支給を円滑に実施してほしい。
今回の財政検証については、秋に予定される臨時国会で焦点となる見通しだ。国民の老後を支える公的年金が将来世代へ安定的に引き継がれるよう、与野党問わず冷静に議論を進める必要がある。









