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「小1の壁」なくしたい
23区初朝夕の見守り事業
東京・豊島区
■谷氏、児童の声聞き区議と要望
区立清和小学校で登校前の居場所となっている教室を視察する谷氏(右から2人目)ら
東京都豊島区はこのほど、小学校の登校時間前から校内に児童の居場所をつくり、帰宅時には見守り員が児童に付き添う事業の試行実施を始めた。働く親が放課後や朝の時間帯で子どもの居場所に困る「小1の壁」を解決するための対策で、東京23区では初めて。公明党の谷きみよ都本部女性局次長(都議選予定候補=豊島区)が児童から聞いた声を党区議団(根岸光洋幹事長)につなぎ、連携して区に要望し、実現した。
■登校前の居場所を校内に
昨年9月上旬の朝、午前8時前。谷氏は豊島区内の小学校前を通行していた時、まだ開いていない校門前に立つ男子児童に声を掛けた。同じ光景を毎朝見かけ、気になっていたからだ。児童は小学1年生。何気なく答えた。「門が開く8時15分まで待っています」
小1の壁を巡っては昨今、働く親が放課後だけでなく、朝の時間帯でも、登校時間よりも早く出勤する人が子どもの居場所に困るケースが多い。谷氏は「校門前で待機中に何か事故が発生したら大変だ」と党区議団に相談し、連携して区へ対策を求めることにした。
9月19日、谷氏と党区議団は高際みゆき区長のもとへ。谷氏は校門の前で聞いた児童の声を伝えながら、小1の壁に悩む保護者が安心して子育てできる環境をつくるため、小学校での早朝の居場所づくりや帰宅時の見送りなどの対策実施を求めた。高際区長は提案に深い理解を示し、「できる学校から実施したい」と表明した。
試行事業は、区立の駒込小学校と清和小学校で1月から実施中。朝の居場所を「おはようクラス」、夕方の見送りを「おかえりサポート」と親しみやすい名称にした。
おはようクラスは、平日朝の午前7時45分から登校時間まで、校内に整備された学童クラブや校舎内の教室を使って実施。安全のために学校の用務員が室内で見守る中、児童は読書などをしながら安心して過ごすことができる。利用対象は、学童クラブを夏休みや冬休みなど長期休暇中も早朝に利用している小学1年生。事前の登録が必要で、現在の登録者は両校を合わせて10人。
■帰路付き添い安全確保
一方、おかえりサポートは、シルバー人材センターの会員が児童に付き添い、暗い道や交通量の多い道を一緒に歩いて安全が確保できる地点まで見送る仕組み。平日夕方の午後4~6時の間、帰宅方向別に三つのグループに分けて実施する。引率者は児童と時折会話しつつ、走行する自動車や自転車などに注意を払いながら任務を遂行している。主に学童クラブの登録者が利用対象で、申し込みは必要ない。
■4月から全校予定
区は4月から全22の区立小学校で事業を展開する方針で、新1年生の保護者には入学説明会で事業を案内している。区放課後対策課の担当者は、「仕事と子育ての両立を支援するためにも、全校実施に向けて試行事業を進めていきたい」と意気込む。