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2025年2月5日

衆院予算委、公明党の質疑(要旨)

衆院予算委員会は3日、2025年度予算案の基本的質疑を行った。公明党の岡本三成政務調査会長、中川宏昌氏による質疑の要旨を紹介する。

岡本三成 政調会長
中小企業の賃上げ
補助金周知へ短い動画も

質問する岡本政調会長=3日 衆院第1委員室

岡本三成氏 「103万円の壁」が流行語になっているが、手取りを増やすことに多くの国民は期待を抱いている。給料から差し引かれるものを少なくすると手取りが増えるが、同様に給料自体をどう増やしていくかが、より重要だ。

今回の予算案も昨年末の補正予算も、中小企業支援が「これでもか」というぐらい盛り込まれているが、経営者に支援の選択肢を認識してもらえていない。

一つ提案したい。ホームページ(HP)を使って、必要な情報を必要な人々に適切に、十分伝えてほしい。たくさんの中小企業支援の窓口があり、そのハブ(拠点)は中小企業庁のHPだ。トップページは寂しい感じで色味も冷たい。例えば、首相や大臣の「中小企業を全力で支援していきます」というメッセージを載せるとか、もっとワクワクさせてほしい。

補助金や「ミラサポPlus」など(の案内)が出てくるが、横の関連リンク一覧をクリックするとリンク先が50団体出てくる。どこを見れば、自分が欲しい情報が取れるか全く分からない。

中小企業の経営者がHPを見るときは仕事終わりで疲れている。例えば、チラシを1分ぐらいのショート動画にして、興味があれば深く追求できるような、別次元への圧倒的なクオリティー(質)のアップをお願いしたい。

武藤容治経産相 新しく動画の短めのものを作る。HPをいじるので期待してもらいたい。しっかりやっていく。

設計労務単価アップ必要

岡本 物価高の中でも働く人が継続的な賃金上昇を確実に実感できれば消費性向が高まってくる。大切な分岐点に差し掛かってくるのが今年だ。

最低賃金や春闘の流れを決める1発目の大きな発表が、2月半ばに予定される国土交通省の設計労務単価だ。設計労務単価が上がると、民間の建築などの労務単価も上がっていく。今後の大きな賃上げの流れを位置付けていくような単価の上昇へ、意気込みは。

中野洋昌国交相(公明党) 最新の賃金の上昇の情勢などを十分に踏まえ、適切な労務単価の設定を図っていく。価格転嫁対策も強化し、労務費へのしわ寄せ防止を図る。

コンテンツ産業
海外輸出強化、国挙げて

岡本 半導体産業と比べても、さらに大きな産業が世界にはあり、日本が既に大きな地位を占めているのがコンテンツ産業だ。

今、世界で市場規模約200兆円だ。政府の支援がまだ不十分で、輸出売上は5兆円だ。これから8年で4倍の20兆円まで(拡大していく)という目標になった。政府の取り組みは評価するが、あまりにも縦割りだ。

例えば、一番支援しなければならないのはクリエーターだが文部科学省と文化庁でやっている。産業を後押しするのは経済産業省だ。世界に売っていくには外務省も必要だ。

そこで二つ要望したい。一つは、これから20兆円を取ろうとしているのに、政府の予算は約100億円だ。今回を第一歩として拡大してもらいたい。

もう一つは、“チームジャパン”でクリエーターを育成し、日本の海外輸出の最大の産業になるよう支援をお願いしたい。

経産相 経産省と文化庁で連携しながら、協力的な支援体制を整備する。

阿部俊子文科相 予算をこれ以上に、次の年も確保したい。文化庁と経産省、双方が強みを生かしながらクリエーターの発掘と育成、海外展開を一貫して頑張っていく。

コメ価格高騰
備蓄活用で“投機”抑止を

岡本 コメの値段がかなり高い。昨年は豊作だったにもかかわらず、価格は高騰。流通のどこかで買い占めや売り惜しみが起きているのではと懸念される。

1月31日に農林水産省が備蓄米に関して、(売り渡し・買い戻しなどの)運用の基本方針を見直し、今後は円滑な流通に支障が生じる場合にも活用を認めることを決定した。

昨年10月まで、公明党の高橋みつお参院議員(参院選予定候補=兵庫選挙区)が農水省で政務官をしていた。この時に、流通が滞った場合の備蓄米の活用について農水省の中で議論し、提案している。その後、参院農水委員会でも、買い戻しを条件とした備蓄米の活用について提案した。基本方針を変更したことは高く評価するが、その上で三つお願いしたい。

一つ目は、方針変更を抑止力として、投機的な動きができないような流れをつくってもらいたい。二つ目は、買い戻すときの価格にも細心の注意を払いながら取引をお願いしたい。三つ目は、生産者がしっかりとした所得を確保し、安定的なコメの価格を実現できるような運用をしてもらいたい。

江藤拓農水相 このままでは間違いなくスーパーの店頭から、またコメがないという状況が起こる。いつでも備蓄米を出せるように準備を急がせる。

パレスチナ支援
人材育成など中長期で

岡本 私は2015年にパレスチナ・ガザ地区を訪問し破壊される前を見た。喫緊の人道支援に加え、中長期的な復旧・復興へ、パレスチナの自治、ガザの産業を進めていくリーダーの育成が大切だと思う。

ガザに行く道すがら、シリア人難民の最大キャンプを訪問した。そこでの経験を基に、当時の安倍晋三首相に、シリア人難民を日本に大学院生として迎え入れることを提案した。17年に始まり、昨年までに82人のシリア人難民の留学生を迎え入れた。修士号を取り、いずれシリアのトップリーダーになっていく。

パレスチナにも同様のプログラムを中長期的に実現してもらいたい。日本で教育を受け、日本を大好きになり、ガザ、パレスチナのリーダーとして地域を発展させ、日本とパレスチナの関係をより良くする。世界中に日本の味方をつくっていく。そういう中長期的な支援をお願いしたい。

石破茂首相 斉藤鉄夫代表の質問(1月28日の衆院代表質問)で、ガザで病気やけがをした人々を日本に受け入れられないかということで今、鋭意努力している。シリアをモデルとした事業がガザの人々にもできないかということは、岡本委員の提案を踏まえて、実現に向けて努力する。

中川宏昌衆院議員
道路陥没事故
上下水道など、老朽化対策急げ

質問する中川(宏)氏=同

中川宏昌氏 埼玉県八潮市の道路陥没事故では不安が広がっており、政府も全力で対応に当たってもらいたい。能登半島地震でも上下水道に大きなダメージがあった。上下水道の耐震化を含めて、しっかりとした対策が必要だ。上下水道の運営・維持管理、インフラの老朽化対策は、喫緊かつ大きな課題であり、今後策定の防災・減災、国土強靱化の中期計画は非常に大事だ。

中野国交相 中期計画に、上下水道の強靱化に必要な対策がしっかりと盛り込まれるように検討したい。

能登復興
公営住宅建設、民有地にも

中川 能登半島地震の被災地では災害公営住宅が着工されていくが、半島は急峻な地形の中で平地が極めて少ない。公有地だけで建てるには限界がある。地理的状況や高齢化を鑑み、公費解体後の私有地を災害公営住宅建設に最大限生かしてほしい。知恵を絞って、被災地に対応した柔軟な建設を求める。

国交相 公費解体後の民有地の活用も含め、用地確保を積極的に進める。

中川 液状化した地域では、再建に向けての第一歩が地籍再調査だが、「復元が前提」と言われている。ひどい地域では3メートル以上も動いており、被災者は「復元なんか無理」と訴える。被災者の立場に立って、国が全面的に協力し知恵を出してもらいたい。

国交相 しっかりと支援を行っていきたい。

中川 能登半島は観光資源が地域経済を支える柱であるが、宿泊施設は壊滅的な被害で、営業する施設はほんの一握り。施設の公費解体は進んでいない。和倉温泉、輪島の朝市の復興は、能登地域の雇用を守り、地域経済を立て直すための始まりであり、国を挙げて応援すべきだ。

国交相 引き続き被災地の声にしっかりと耳を傾けながら、観光復興に向けた支援に全力で取り組む。

体育館の空調整備
新設の交付金、活用促せ

中川 災害時に避難所として使用される学校の体育館の空調整備について、昨年の臨時国会で、公明党の要望に対し石破首相は「整備のペースを2倍に加速する」と述べ、補正予算で臨時特例交付金が実現した。募集されたが、施工業者の確保が非常に難しいといった課題もあり、一つの市町村からも申請がない県が17ある。検討中や申請に至っていない自治体への情報提供や追加支援も必要だ。

阿部文科相 2月中旬に追加募集を行う予定だ。整備加速へ取り組みをしっかりと進めていく。

中川 体育館の空調設置後のランニングコスト(運営経費)について、昨年、公明党の浮島智子衆院議員が支援を訴え、地方財政措置が実現した。これから設置される空調だけではなく、既に設置されている体育館も対象にしてもらいたい。

村上誠一郎総務相 今回の交付金で設置されたものに限らず、既に空調設備を設置済みのものを対象に含め、適切に算定して反映していく。

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