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【主張】徳島に創造戦略本部 地方から新時代の消費者像を
消費者の行動で時代を変える――大量生産・大量消費から省エネ社会へ、さらに地球環境保護の時代へと変わりつつある現在、新しい消費者意識を喚起し、広めることは世界的要請となっている。
政府はこのほど、消費者庁が2017年から徳島県に開設していた新未来創造オフィスを拡充し、20年から新未来創造戦略本部として、消費者行政の研究などを進める恒常的拠点にすると発表した。
消費者庁と徳島県が連携し、地方から新時代の消費者像を構築してほしい。
中央省庁である消費者庁の基幹となる部局が地方に置かれる意義は大きい。また、これまで積極的に消費者教育などに取り組んできた徳島県の貢献も評価されている。さらなる共同作業を期待したい。
現在、新時代の消費者のあり方として注目されているのが、「倫理的消費(エシカル消費)」である。
エシカル消費とは、「環境」「人と社会」「地域」のためになるかどうかを考えながら商品やサービスを選択することだ。例えば、「環境」への配慮なら自然エネルギーを活用したり、エコマーク付き商品や有機農産物を選ぶ。「人と社会」なら、障がいのある人が作った物や、途上国から適正価格で継続的に輸入された物を買う。「地域」では地産地消を心掛ける。こうしたことを日常生活の中で実践することである。
これによって、環境破壊につながったり、不当な労働搾取が潜んでいる商品が排除され、経済活動のゆがみの是正につなげることができる。まさに「商品を通した世界との対話」といえよう。
またエシカル消費は、国連が30年の達成をめざして進めている持続可能な開発目標(SDGs)の活動にも合致している。SDGsの12番目の目標「つくる責任つかう責任」では、キーワードとして「持続可能な生産と消費」が挙げられている。SDGs達成のためにも、新時代の消費者像の提示が急務である。
徳島県と消費者庁は今年12月に「エシカル甲子園2019」を徳島市内で開催する。全国の高校生がエシカル消費について発表する。地方からどのような消費者像が生まれるか。大いに期待したい。