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2025年1月30日

竹谷代表代行の参院代表質問(要旨)

■(復興、防災)事前の備蓄・整備の強化を

能登半島地震の発災より1年がたった。能登半島地震に加え、昨年9月に発生した奥能登豪雨災害も重なり、被災地ではいまだ課題が山積している。特に、道路、水道などの復旧や土砂崩壊対策に時間を要する6市町24地域の232世帯が「長期避難世帯」に認定され、帰還できない状況が続いている。政府には、一刻も早い被災者の生活再建に総力を挙げて取り組むとともに、これまで以上に被災地と被災者に寄り添った対応を求める。

能登半島地震をはじめとする大規模災害の経験から、災害対応における司令塔機能の強化が不可欠だ。2026年度中の設置をめざす「防災庁」について、国民の命と暮らしを守る司令塔としての具体的な検討を求める。また、その中で、災害専門ボランティアなどの育成や防災教育の充実など地域防災力の向上につながる取り組みを推進すべきだ。

公明党の強い要望を受けて、このたび、全自治体を対象に「災害用物資・機材等の備蓄状況に関する調査」が実施された。調査では、例えば、簡易トイレやストーブなどの備蓄で地域差が生じており、地域の実情に応じたさらなる備蓄の推進が必要であることが明らかになった。これを踏まえ、地方自治体が「新しい地方経済・生活環境創生交付金」などを最大限活用し、避難所の生活環境改善に必要なトイレカーやキッチンカー、簡易ベッドなどの資機材の整備や防災・減災に積極的に取り組めるように支援すべきだ。

また、災害時に避難所となる学校体育館のエアコン設置を加速化するための空調設備整備臨時特例交付金事業の申請が間に合わなかった自治体もある。体育館のエアコン設置を全国に広げていくために追加受け付けもすべきだ。大規模災害の教訓を生かした事前防災を推進すべきだ。

半島、離島の対策

能登半島地震および奥能登豪雨では、主要道路が寸断され、初動の対応に遅れが生じた。半島は、三方を海に囲まれ、平地が少なく、斜面が急な山や坂も多いため、代替道路の確保が難しく、災害に対して脆弱なことが明らかになった。離島も同じような条件下にある。能登の教訓を踏まえ、全国的に「災害に強い半島・離島」を築くことが急務だ。

具体的には、道路、港湾、上下水道などの防災対策強化に加え、迅速な復旧のための体制強化、自治体間・官民の連携強化など、ハードとソフトの両面から半島・離島地域を強靱化する必要がある。特に、孤立地域の発生を防ぐためにも、主要道路のみならず、全ての道路を災害時に活用する想定で整備するとともに、公共交通の維持に特段の支援が必要だ。3月に期限を迎える半島振興法の改正も見据え、今こそ半島や離島の防災の強化を進めるべきだ。

福島の創生

東日本大震災から間もなく14年を迎える。25年度で終了する「第2期復興・創生期間」以後も被災地に寄り添い、残された課題にさらに力強く臨んでいかなければならない。特に、地震・津波・原発事故の複合災害が発生した福島県浜通りには、今も長期にわたる大きな課題が残されている。その一つが、福島県双葉町・大熊町に中間貯蔵を受け入れていただいた除去土壌の再生利用・最終処分だ。除去土壌の福島県外最終処分は、法律で定められた国の責務であり、具体的な道筋を示し、国民の理解をいただき、着実に進めることが肝要だ。

また、創造的復興の実現に向け、公明党が推進した「福島イノベーション・コースト構想」をさらに発展させ、司令塔となる中核的な拠点として設立した福島国際研究教育機構(F―REI)の機能を最大限発揮させることが重要だ。F―REIに国内外からの英知を結集し、福島復興をリードする人材育成と、研究開発に向けた支援を強化し、福島から世界に冠たる科学技術力・産業競争力の強化への取り組みを加速すべきだ。

■(賃上げ)中小企業の支援、国挙げて

物価高を上回る賃上げの全国的な普及・定着を急がなければならない。ようやく「賃金と物価の好循環」の実現が視野に入ってきたとの見方がある一方で、多くの中小企業ではまだ十分な賃上げができずにいる。大企業における高い賃上げの動きを中小企業・小規模事業者に広げていくためには、労務費やエネルギー価格などの上昇を取引価格に適切に上乗せできる価格転嫁が鍵の一つだ。

これを着実に進めるために、公正取引委員会では特別調査を実施し、不当に価格を据え置くなどした事業者を公表するなどして改善を促している。これにより、中小企業が労務費などの価格転嫁ができるようになったなど一部に効果が出てきているが、さらなる取り組みの強化が必要だ。

中小企業の賃上げの実現へ、官公需の価格転嫁などを含め、省庁の枠を超えて国全体でもう一段、きめ細かく支援する「賃上げ支援パッケージ」を打ち出してはどうか。

女性活躍

党女性委員長として各地を訪問する中、「進学や就職で(都市部に)転出した若者のうち、男性に比べて女性は半分しか(地方に)帰ってこない」という声を聴いた。若い女性にとって地方は、都市部に比べて経済的にも文化的にも魅力に乏しく感じられる上、男性社会で、職場や家庭、地域に根強く残る男女格差のため若い女性が住みづらいのでは、との声も聴いた。

若い女性が長く住み続けられる地方にするためには、地方ならではの良さを生かしつつ、地域社会のジェンダーギャップ(性別の違いによる格差)解消や、適切な収入を得られるよう、例えば、デジタル技術などを習得・活用してリモートワークで都市部の仕事もできるようにするなど、課題解決への取り組みが必要だ。

地域に息づく伝統文化の継承や、子育て支援、高齢者の見守りなど地域の課題解決のための女性による起業も地域活性化の大きな力になる。伴走型で相談できる専門家の紹介や資金調達の支援、女性の起業家同士のネットワークづくり、さらに女性起業家が受ける投資家からのセクハラ被害の対策など、多角的な取り組みが必要だ。

自動車関係諸税

ガソリン価格の高騰が国民生活を直撃している。自動車関係諸税の抜本改革を通じてユーザー負担の軽減を実現すべきだ。ガソリンの暫定税率の廃止に加えて、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)や経済成長へ貢献する新しい時代にふさわしく、簡素で、ユーザー負担を軽減する抜本改革を実現すべきだ。今後、議論を重ね、与党として今年中に結論を出していきたい。

扶養控除

昨年末、与党として16歳から18歳の扶養控除の縮減を見送る方針を決定した。当初、児童手当の拡充に伴い16歳から18歳の扶養控除は縮減する方針だったが、公明党が強く主張した結果、見送ることで合意した。

今後、人的控除をはじめとする各種控除のあり方について検討することになっているが、安心して子どもを産み育てられる社会にするためには、子育ての経済的負担の軽減は不可欠だ。高校生年代の扶養控除を維持するとともに、0歳から15歳の年少扶養控除の復活も前向きに議論すべきだ。

■(社会保障)年金理解へ広報が重要

年金制度改革について、公明党は、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年を見据えて、基礎年金の底上げが重要だと考えている。年金加入者全員に共通している基礎年金の給付水準が低下すると、貧困や生活保護受給者の増加にもつながりかねない。

特に、「就職氷河期」に社会人となった団塊ジュニア世代など、老後の資金準備が十分でない人も多いと指摘されており、その対策は喫緊の課題だ。また、基礎年金の給付水準を底上げし、将来のセーフティーネット(安全網)を強化することは、団塊ジュニア世代に限らず、若者・現役世代の安心感を高めることにもつながる。

将来のために基礎年金を底上げすることは、与野党でもおおむね意見が一致する。

そのためには、経済状況を見極めながら、基礎年金のマクロ経済スライドによる調整期間を早期終了させることが必要だ。一方、その方法によっては、一時的に給付水準が減少する人が発生することや、将来的に新たな財源が必要になるという課題もあるため、丁寧な議論と国民への説明が不可欠だ。与野党の枠を超えた合意形成に向けて、首相がリーダーシップを発揮することを強く期待する。

また、公的年金制度は老後生活の柱であり、生活の安心につながる重要な機能を有しているが、複雑な制度であるが故に、特に若者は、制度そのものに対する不信と不安を抱えている。ライフコースも多様化する中で、どのような働き方をすれば将来どれくらいの年金がもらえるかなど、より理解しやすい周知・広報を行うことも重要だ。

ハラスメント防止

職場におけるハラスメントや嫌がらせ、いじめについて、対策の強化が進められてきたが、都道府県労働局への相談件数は依然、高止まりしている。また、顧客・取引先などからのカスタマーハラスメントや、就職活動中の学生などに対するセクシュアルハラスメントも対策強化が急務だ。

65歳以上の労働者が増加する中、労災事故も増えている。高齢者の労働災害の防止に向けた取り組みも進めるべきだ。

■(教育)高校、大学の無償化さらに

教育無償化について、与党と日本維新の会の議論で、公明党は一貫して、「教育は子どもの幸せのためにある」として、教育無償化と、多様な子どもたちが自分らしく得意を伸ばしていく質の高い教育を、車の両輪として実現しなければならないと主張している。

高校の無償化については、まずは大阪などの事例を検証し、国民の理解を進め、さらに教育関係者にヒアリングを行い、教育の質の向上と恒久財源の確保と併せて、早期に実現していきたい。

大学などの無償化は、給付型奨学金を創設するなど着実に進めてきた。25年度から、多子世帯の学生などについては所得制限を撤廃し授業料などが無償化されるが、さらなる対象拡大が必要だ。

自分の得意を伸ばして文化芸術分野や専門的な技術・知識を持つマイスターなどの職種に進む若者への支援も必要だ。

学校給食の無償化は、実現に向けて効果の検証を促すとともに、地方創生や地産地消の視点も含めた給食の質を確保するため、関係省庁が連携して取り組むべきだ。

公明党が「子育て応援トータルプラン」で提言した0~2歳児の無償化も含め、着実に進めていきたい。

子どもの体験格差の解消も重要だ。官民が連携して、文化芸術・スポーツをはじめ、地域と連携した社会体験、自然体験、多種多様な部活動などの機会充実と経済的な負担軽減や無償化に取り組み、家庭の状況にかかわらず、全ての子どもたちに体験活動の機会をしっかり保障すべきだ。

教職員の処遇改善

教員不足が叫ばれる中、全国の教員の頑張りが報われて、子どもたちのために教員の専門性が存分に発揮できる環境整備が必要だ。

教員の処遇改善だけでなく、働き方改革で残業時間を徹底的に減らす取り組みも同時に進めなければ教員不足解消にはつながらない。

教職員の処遇については、教職調整額を専門職として今以上に引き上げるとともに、新たな役職や手当てを創設し、頑張っている教員が報われるメリハリのある給与体系を構築すると同時に、「学校・教師が担う業務に係る3分類」に基づいた業務の削減で、教員が本当に子どもたちのために使える時間を確保することが重要だ。

地域などが一丸となって子どもに関わる「令和の時代のチーム学校」を全国展開しなければならない。多様な子どもを包み込む柔軟な公教育の加速化に向け、学習指導要領の改訂にも取り組まなければならない。

■(日中関係)交流進め相互理解を促進

今月、約7年ぶりに日中与党交流協議会が開催され、公明党からは西田実仁幹事長らが出席した。日中両国にはさまざまな課題があるが、アジアと世界の平和と安定に貢献する関係でなければならない。

今月14日、私も中国から修学旅行で訪日中の北京第五実験学校の生徒と交流した。両国の青少年が日中友好の懸け橋となって活躍していくことに大いに期待するとともに、国民と国民の交流こそが相互理解を促進し、友情を育む源泉になると確信している。これからも政府の外交を後押しし、日中関係の改善につなげていきたい。

政治改革の断行

昨年は、政治資金の透明性の確保や罰則を強化する政治資金規正法の改正などが実現し、政治不信払拭への第一歩を踏み出した。公明党の強い主張により、政治資金を厳しくチェックする第三者機関「政治資金監視委員会」の設置が決まった。収支報告書に不正があれば、調査・是正・公表されることになる。

企業・団体献金の取り扱いや旧文通費の使途明確化など、多くの課題が残っており、成案を得るために、与野党の枠を超えた努力が引き続き必要だ。国民の政治への信頼を回復するため、政治家が責任の重さを自覚し、思い切った政治改革を断行しなければならない。

自民党総裁である首相が、政治とカネの問題を断固解消するという決意で、リーダーシップを発揮すべきだ。

循環経済への移行

限りある資源を国内で循環させることは、海外からの資源調達リスクの低減、カーボンニュートラルの観点からだけでなく、地域経済の活性化にも資する重要な取り組みだ。岡山県真庭市では、バイオマス由来の電気や熱で市庁舎のエネルギーを賄うなど、資源循環の取り組みが行われている。このような取り組みは、新たな循環産業の創出も期待されるため、国が積極的に支援していくべきだ。

交通ルールの周知

電動キックボードや「モペット」と呼ばれる原動機付自転車などの新たな移動手段・モビリティが普及する一方、利用者による交通違反や事故が急増している。また、訪日外国人旅行者の増加とともに、一般道を走る、いわゆる公道カートも増え、「複数台による隊列走行が迷惑だ」などの声も多く上がっている。

利用者がルールを十分に理解していないことによる違反や事故も多く、ルールのさらなる周知や利用者への安全教育を図るとともに、危険な運転に対しては取り締まりを一層強化すべきだ。

加えて、シニアカーは歩行者扱いであるにもかかわらず、歩道を走行中に「なんで歩道を走っているんだ」と言われ、「シニアカーは歩行者です」という印刷物を貼るようにしたという利用者の切実な声も聴いている。

電動キックボードなどの新たなモビリティのルールの周知および安全対策をお願いしたい。

■石破首相らの答弁(要旨)

【石破茂首相】

<災害対応力の強化>26年度中に平時・発災時の司令塔として防災庁を設置すべく、準備を加速する。事前防災の徹底により被害の最小化を図るとともに、発災直後から被災者が避難所で尊厳ある生活を営める環境を整備する。

<公立小中学校体育館の空調整備>設備にかかる臨時特例交付金については、今後、追加募集を行う。

<中小企業の賃上げ>私から関係大臣に、価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けた取り組みを指示した。官公需についても、適切に価格交渉、価格転嫁に応じるよう各省庁に指示した。「省力化投資促進プラン」を策定し、きめ細かく賃上げを支援する取り組みを抜本的に強化する。

<女性活躍による所得向上>リスキリング(学び直し)支援、テレワークなど多様な働き方の環境整備、女性起業家のためのネットワークの充実などに取り組む。地域の支援体制を強化するための法案を今国会に提出する。

<年金制度改革>基礎年金のマクロ経済スライドが早期に終了することは、将来の基礎年金水準の確保につながる。今後、経済が好調に推移しない場合に備え、成案を得るべく努力する。

<教職員の処遇改善>業務や授業時数の見直し、校務DX(デジタルトランスフォーメーション)加速化、学校の指導運営体制の充実により、教師の時間外在校などの時間を削減する。働き方改革や給与面を含む処遇改善などを進める。

<電動キックボードなどの安全対策>電動キックボードやペダル付き電動バイクによる悪質、危険な違反行為は厳格に取り締まる。

【中野洋昌国土交通相(公明党)】

<半島・離島防災>半島振興法の延長に向けて、近く与野党合同での検討が開始されると承知している。離島については、離島振興法改正を踏まえて、道路、港湾、空港、上下水道などの防災対策や体制の整備、交通の確保を一層推進する。

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