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経済の好循環実現へ
衆院代表質問で斉藤代表
災害法制に「福祉」の視点
核禁条約会合、オブザーバー参加を
衆院は28日の本会議で石破茂首相の施政方針演説などに対する各党代表質問を行った。公明党の斉藤鉄夫代表は、所得税や社会保険料の負担が生じる「年収の壁」について「誰もが壁を意識せずに働くことが可能となる制度設計を行うべきだ」と主張。また物価高を上回る中小企業の持続的な賃上げを定着させ、経済の好循環実現に向けた流れを一層、進めていくよう訴えた。
■「年収の壁」解消で所得増
■賃上げへ円滑な価格転嫁
■科学技術人材の支援構築
斉藤代表は、家計所得の向上へ、所得税が課され始める年収「103万円の壁」のさらなる引き上げに向けて議論を続ける考えを示した上で「本当の壁は『社会保険の壁』だ」と指摘。働きたい人が力を発揮できる環境を整えるため、「壁」を意識せず働けるような制度設計に加え、仕事と家庭の両立支援を訴えた。
石破首相は「年収の壁・支援強化パッケージの活用拡大に取り組むとともに、年金法改正案を取りまとめる」と答えた。
中小企業の賃上げについて斉藤代表は、多重委託構造により価格転嫁が円滑に進んでいない業種があるとし、委託制限などの措置を講じるよう提案。科学技術分野の人材育成として、教育費支援など諸外国に負けない支援体制の構築も求めた。
防災立国の構築に向けては、能登半島地震で災害関連死が直接死を上回ったことを踏まえ「災害関連法制に『福祉』の視点を取り入れ、あらかじめ支援体制を整備することが必要不可欠だ」と主張した。石破首相は「災害救助法を改正し、救助活動の種類に福祉サービスの提供を加え、国庫負担の対象とすることなどを検討している」とした上で、今国会に改正法案を提出する方針を示した。
「核兵器のない世界」の実現へ斉藤代表は、今年が被爆80年の節目に当たるとして、3月の核兵器禁止条約締約国会議に「日本のオブザーバー参加」を要請。「日米安保や米国の拡大抑止を否定するものではないことを明確にしつつ、主体的に判断すべきだ」と強調した。石破首相は、オブザーバー参加した諸外国の検証を進め、「結果を総合的かつ注意深く考慮し、締約国会合への対応を適切に判断する」と述べた。
斉藤代表は全世代型社会保障を巡り、高齢者人口がピークとなる2040年を見据え、地域ごとに異なる医療需要に対応できるよう医療従事者の確保といった医療提供体制の強化を主張したほか、安心の介護保険制度の構築も求めた。
さらに、インバウンド(訪日客)の地方誘客への支援策については、日本固有の文化など地域資源を生かしたコンテンツ造成のほか、オーバーツーリズム(観光公害)解消、航空便の回復や保安体制の強化など受け入れ環境の整備を訴えた。
一方、当選無効となった国会議員の歳費などの返納義務化に向けた法改正を進める必要性についても力説。石破首相は「公明党と緊密に連携し、衆参議院運営委員会などでの議論を呼び掛けるとともに、早期実現に向け、議論を加速させていく」と語った。